東海大学付属諏訪はウインターカップ2022でベスト8まで勝ち上がり、さらには最も印象に残ったチームに贈られる『感動大賞』を受賞した。そんなチームを指揮した入野貴幸コーチは学園内の人事異動により4月から東海大で勤務することに。自身も東海大学付属諏訪、東海大のOBでもある入野コーチは、大学時代にバスケを好きだと思わせてもらったという恩師、東海大男子バスケットボール部SEAGULLS(シーガルス)の陸川章監督をサポートしていく。
「シーガルズハウスの近くに住まいを確保しました」
──東海大への異動が通達された時、どんな気持ちになりましたか?
これを味わえるのは世の中で1人だけじゃないですか。なので非常に燃えるというか、「よし、やろう」っていう感じですね。ポジションに合うように自分で勉強して成長しようとすることにやりがいを感じるので、これから大学に行くのは人生における挑戦です。そういった意味では震え上がるというか、身が引き締まる思いでした。
──カテゴリーが高校から大学へと変わることで、指導の仕方などは変えていきますか?
今までやってきたことのベースがあっての話ではありますが、今までの過去に固執したり、成功体験にとらわれていると吸収しづらく学びにならないと思っているので、ゼロからもう一度立ち上がるつもりでやっていきます。何かあれば学生にすぐ寄り添えてミーティングにもちゃんと参加できるように、大学の徒歩圏内で誰よりも早く行けるようにシーガルズハウスの近くに住まいを確保しました。高校、大学と寮だったので一人暮らしは初めてなんです。これまでは妻が料理を作ってくれていましたが、単身赴任で僕は料理が全然できないので、料理番組を見るようになりました。結局もやしでいいかとなっちゃいますが。掃除が面倒なので、何でも茹でになっちゃいます(笑)。
──大学内ではどういった立ち位置になるのでしょうか?
スポーツプロモーションセンターの所属になるので、一般の学生に向けて体育の授業を受け持ちます。あとはバスケットボールの授業も入ってくるんですけど、基本的には教員という形で授業をやっていく感じです。まずは授業をし、その上で学生の指導、他の先生方とのプロジェクト活動や委員会活動、最後に部活。この4段階をバランス良くこなしていくことになります。
──将来的なビジョンはありますか?
やはり大学の機関なので、研究活動も進めて、文武両道でやっていくつもりです。生涯大学にいるということは研究とバスケットを両立していくことだと思っているので。
修士論文のところでは専門分野の体育哲学をベースにして、バスケットボールのコーチングや学校体育について論じているんですけど、まだ研究者としては卵の状態です。もっと研究も進めていかなきゃいけない中で、コーチング学を紐付けながら問題を深堀していかなければいけません。日々、自問自答しながらやっていきますが、なかなかゴールにたどり着かないのは大変ですね。でも大学院の阿部先生という研究のトップの方と、バスケットボールのトップの陸さん、この中で働けることが活力になります。
「みなさんの協力を得て、無敵艦隊を作っていきたい」
──東海大諏訪に対してはどういった思いでしょうか?
ベストを尽くしていろいろやってきたので悔いはないですが、やっぱり心惜しいというか。できれば月に1回とか、2回でも諏訪に戻って、それこそ附属だからこそできる高大一貫指導という新たな形で諏訪に還元できればいいかなとも考えました。それが長野県、諏訪に対しても恩返しになるかなと思うので。そういった意味で、できる限り良いものはどんどん発信して伝えていきたいと思っています。
──これまでの18年という指導歴を振り返るといかがでしょうか?
背伸びしながら、成長させてもらってきたと感じます。自分が退任するとなり、1期生の子からすごく長い感謝のラインがきてちょっと身震いしました。1番最初の子たちにちゃんと伝わっていたことやOBたちの活躍を見て、自分の職責を少なからず全うできたかなと思います。送別会をやっていただいたときにもすごく温かくしてくださり、人に支えられてきたなと思いますね。
──では最後に東海大のアシスタントコーチになられるということで、それに対しての意気込みをお願いします。
まず、強い東海大であり続けるということはもちろんですが、やはり陸川先生が培ってきた「社会に貢献する人材を育成していく」という、心の山と技術の山を登るというベースは崩さずにやっていきます。もっと強い東海大になっていくためにはいろいろな人の力が必要なので、みなさんの協力を得て、無敵艦隊を作っていきたい。