シモーネ・フォンテッキオ

「コーチに名前を呼ばれるたびに、チームの役に立ちたいと思う」

ジャズとウォリアーズの一戦は、第4クォーター残り13秒の時点でウォリアーズが123-119とセーフティーリードを奪ったかに思われたが、そこからマリク・ビーズリーが3ポイントシュートを決めて1点差に肉薄、6.9秒からのプレーでジョーダン・プールがボールを失い、速攻に転じたジャズが残り1.4秒で逆転して勝利を収める、劇的な幕切れとなった。

残り6.9秒、ウォリアーズのボールでのプレー再開で、パスを受けたプールにニキール・アレクサンダー・ウォーカーとケリー・オリニクがブリッツを仕掛ける。2人が引っ掛けてボールロストを誘い、拾い上げるとすぐさまビーズリーがプッシュ。走り込んだシモーネ・フォンテッキオへとパスが渡り、逆転のダンクが決まった。

ビビント・アリーナの観客は狂喜乱舞。その中でも、一番喜んでいたのはNBA初挑戦の26歳のイタリア人、フォンテッキオだった。ヨーロッパでは実績があり、この夏のユーロバスケットではイタリア代表の若きエースとして活躍してNBAにやって来たが、開幕からプレータイムをほとんどもらえず、予想外の躍進を続けるジャズで置いてけぼりの存在となっていた。

転機となったのはルディ・ゲイのケガで、そこからコンスタントにコートに立つようになって、リズムをつかみ始めた。そしてこの日はラウリ・マルカネンの欠場もあり、フォンテッキオの出番はさらに増えることになった。20分のプレーで18得点。最後のダンクはチームで作り出したチャンスをフィニッシュしただけだが、フィールドゴール10本中6本成功、得意の3ポイントシュートも3本沈めて18得点と、試合を通じてチームに貢献できた。

NBAプレーヤーとして初めて試合後の会見に呼ばれたフォンテッキオは、試合球をプレゼントされたことを明かし、「家に持って帰るよ。どこに飾るか分からないけど、ウチには小さな娘がいるから、その子から遠ざけることを考えないといけない」とうれしそうに語る。

「コーチに名前を呼ばれるたびに、チームの役に立ちたいと思う。素晴らしいチームメートのおかげで、今日は良いプレーができた。どんなことがあっても、最高の仲間がサポートしてくれるから大丈夫さ」

「NBAに挑戦して、ジャズの一員になれると決まった時には本当に幸せだった。これまでの自分のプレースタイルを変えることも必要だし、ルールの違いにも対応しなきゃいけない。でも、常に前向きで、積極的に取り組んでいる。NBAは今までと違う世界だけど、僕には10年のプロキャリアがあるおかげで、良いことも悪いこともすべての瞬間を楽しんでいるよ」