スタッツに表れない部分でチームを支える仕事人
12月3日に行われたレバンガ北海道戦に勝利した川崎ブレイブサンダースは10連勝を達成し、18勝3敗でリーグ最高勝率(.857)をキープしている。
リーグ最強の点取り屋であるニック・ファジーカス、高い身体能力を生かしたランニングプレーが持ち味のライアン・スパングラー。この2人の外国籍選手に加え、日本代表のシューター辻直人の3ポイントシュートのアドバンテージばかりが強調されるが、川崎の強みはそれだけではない。堅守からの素早いトランジション、そして選手層の厚さ、これが最大の強みだ。
そして、この2つを象徴する選手がベンチから登場する藤井祐眞だ。3日の試合ではベンチからの出場ながら、MVPに選出された。
スタッツだけを見れば9得点2アシストと突出した数字ではない。だがスタッツに表れない、トランジションのプッシュやディフェンスでの貢献は誰よりも光っていた。
今日の出来について質問するとやはりその部分に手応えを感じていた。「ディフェンスで相手のミスを誘い、うまくブレイクにつなぐことができました」、「トランジションの切り替えが今日は特に良かったです」と持ち味を存分に披露した喜びがうかがえる。
藤井は主将で先発ポイントガードの篠山竜青とタイムシェアしての起用となっている。「竜青さんにないものを自分が持ったり、自分にないものを竜青さんが持ってたり、違うタイプというか、違うガードなので」と語る。
「スタメンでやりたいという気持ちはあります」とスターターへの『欲』を見せるも、チームファーストを理解してもいる。「今はチームがうまくいくほうがいいです。プレータイムはもらっているわけですし、控えでこいつが出てきたらちょっと厄介だと思われるほうで今は頑張っています」
監督にとっては、これほど頼もしい言葉はないだろう。
「気抜いたら取ってやるぞ」くらいの気持ちで
ディフェンス力に定評のある藤井だが、得点力がないわけではない。むしろ得点力は高い。それを証明するエピソードとして、高校2年時に出場したウインターカップでは「大会史上最多得点記録」となる79得点を記録している。
得点と守備、藤井自身はどちらが好きなのだろうか。「点を取るのももちろん好きです」と答えるものの「得点に関してはニックや辻さんのほうが自分より確実に得点能力があると思うので」と控えめに説明した。
「消去法的にディフェンスのほうが好きということ?」と質問すると、目を輝かせてうなずいた。「はい、相手の主力や得点源につく時はやっぱり燃えます」
「去年のNBLファイナル、アイシン(現・シーホース三河)と対戦した時は比江島(慎)さんについたり、栃木の古川(孝敏)さんとかについたりしたんですけど。そういう得点源につく時はディフェンスをとにかく頑張って『止めてやろう』って思います」
「守りながら攻めるじゃないですけど、『気を抜いたら取ってやるぞ』くらいの気持ちで相手のエースを止めるという楽しさ。そういうのがいいです」と笑みをこぼしながら熱く語ってくれた。
最後に今後のステップアップについて語ってくれた。「辻さん、ニックがいない時に点を取れる選手になれたら、もっとチームが強くなると思う。それこそ自分とライアン(スパングラー)で引っ張っていくくらいの気持ちでやらないといけないと思います」
現在の藤井はポイントガードとしてゲームコントロールを意識しすぎている面もあるという。シュートを打てる機会に打たないという選択は『安定』なのか『消極的』なのか、そこはどっちつかずだと言う。それがクリアになった時、また一つ上のレベルへと進むのだろう。
攻めるようなディフェンスと高校時代からの武器である得点力を兼ね備える藤井。その最強の『矛と盾』で川崎を優勝に導く勇敢な戦士へと成長を続ける。
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