デビン・バッセル

指揮官ポポビッチ「ハードワークし、バスケを学んでいる」

デジョンテ・マレーを放出したことで本格的に再建モードに入ったと見られていたスパーズが、今シーズン開幕から3勝1敗と好スタートを切った。10月24日にはティンバーウルブズを相手に最大35点差を付け、115-106の完勝を収めている。

相手は2日連続の試合だったが、カール・アンソニー・タウンズとアンソニー・エドワーズ、ルディ・ゴベアが並ぶラインナップはスパーズを圧倒するはずだった。ところがスパーズは特別な戦術を使うでもなく、誰かが40得点超えのパフォーマンスを見せるでもなく、ただ攻守の切り替えを素早くし、ボールを動かし、激しくディフェンスすることで勝利をモノにした。

第4クォーターは12-35と失速したが、これはウルブズがホームの観客のブーイングを浴びながら主力を出し続けて意地を見せた結果だ。ディフェンスの強度を維持できず、オフェンスでは相手のゾーンを攻略できずに苦戦したものの、第3クォーター終了時点で32点のリードがあったスパーズの勝利は揺らがなかった。ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチは「ハードワークし、バスケを学んでいる」と選手たちの姿勢を称えた。

高さとパワーのあるウルブズに対し、スパーズは運動量とスペーシングでアドバンテージを作り出し、出場した10選手全員が得点して、37アシストを記録した。ポポビッチは「選手たちには『37アシストでは足りない、セルフィッシュにプレーするな』と伝えた。みんな私が本気で言っていると思ったようだが、すぐに冗談だと気付いた。若い彼らは額面通りに受け取ってしまうから、私も配慮しなきゃいけないな」と上機嫌だった。

デジョンテ・マレーが抜けたポイントガードのポジションは3年目のトレ・ジョーンズが埋め、プレータイムが倍増したことで自信も増したようだ。スタッツこそ突出していないが、速い展開のバスケをリードする役割を遂行している。4年目のケルドン・ジョンソンと3年目のデビン・バッセルが新たなスパーズのエースとなり、マレーが抜けた分もオフェンスを託される回数が増え、結果を残している。ドラフト1巡目9位で指名したジェレミー・ソーハンも攻守にダイナミックなスパーズのバスケに噛み合い、即戦力として活躍している。

今シーズンは勝ちにこだわらず、来年のドラフト指名権を取りに行くという噂もあったが、ウルブズ戦で23得点9リバウンド7アシストを記録したバッセルは「外部の雑音には耳を傾けないようにしているけど、タンキングの話をされると不愉快だよ。僕たちはみんなプロのアスリートなんだ。プレーして競い合う、これが試合への向き合い方だ。誰一人として『今日は負けそうだ』なんて思っちゃいない」

これで3勝1敗。再建チームと見なされたトレイルブレイザーズ、ジャズ、スパーズが西カンファレンスの上位を占めている。スパーズの今シーズンはアップダウンはあるにせよ、若い選手たちがイキイキとプレーする楽しみな年になりそうだ。