アルバルク東京

「オフェンスリバウンドとトランジションをコントロールすることがカギ」

アルバルク東京が、本拠地で宇都宮ブレックスと対戦。A東京は田中大貴、宇都宮は比江島慎とそれぞれ中心選手がコンディション不良で欠場となる中、ともに持ち味の堅いディフェンスが光る接戦となったが、最後はリバウンドで優位に立ったA東京が69-66で勝利した。

古巣との初対決となったライアン・ロシターが第1クォーターで8得点を挙げてA東京が先手を取り、第2クォーター中盤には安藤周人、ザック・バランスキーによる連続3ポイントシュート成功で29-18と突き放して、9点リードで前半を終える。

それでも第3クォーターの出だしに、宇都宮はアイザック・フォトゥのローポストからの連続得点で流れをつかむ。このクォーター、ジョシュ・スコットとフォトゥで計14得点をマークし、守っては相手のビッグマンをよく抑えてゴール下で優位に立つことでA東京の2点リードにまで追い上げた。

第4クォーターに入っても一進一退の攻防は続き、試合残り1分半でA東京の1点リードと息詰まる接戦に。だが、ここで宇都宮はスコット、フォトゥのゴール下が外れる中、A東京は残り52秒にセバスチャン・サイズがコンタクトを受けて体勢を崩しながらもシュートを決めると、残り19秒ロシターが値千金となるオフェンスリバウンドからのプットバックを決める。ここ一番でのインサイドの攻防で上回ることで競り勝った。

A東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、「宇都宮との試合はオフェンスリバウンドとトランジションをコントロールすることです。毎回この2つがカギとなります。やられた時もありましたが、多くの時間帯でここを抑えられました」と勝因を語る。

アルバルク東京

指揮官は「日々成長しています」とチームに自信

この試合、A東京は田中に加え、小島元基もコンディション調整によって欠場。司令塔をこなす2人が欠場したことで、先発ポイントガードであるジョーダン・テイラーのプレータイムは今シーズン最長の35分となった。それに伴いロシターの出場時間も35分超え、田中に代って先発の小酒部泰暉も33分越えと、残った選手に多くの負担がかかったが、ディフェンスの強度を落とさなかった。また、安藤周人も12得点と、残ったメンバーたちがしっかりステップアップした。

それによって、チャンピオンシップ出場を争うライバルから価値ある白星をもぎとった。「東地区はとてもタフな競争です。すべての試合が大事ですが、プレーオフ圏内のチームとの直接対戦はより重要になります。重要な選手がいなくても、試合に勝つことは常に大切です」

これでA東京は17勝7敗で2021年の戦いを終えた。12月11日、12日と秋田ノーザンハピネッツ相手に開幕節以来となる痛恨の同一カード2連敗を喫したが、そこから6連勝とチームを立て直した。シーズン開幕からここまでの歩みを指揮官はこう振り返っている。

「プレシーズンから数多くの問題を抱える中、選手、医療スタッフ、コーチ、トレーナー、マネージメント陣とみんながそれを解決するためハードに取り組んでいます。アルバルクが必要とするスタンダードをも保つため、みんな素晴らしい仕事をしてくれました。沖縄、秋田に連敗した4つの負けはダメージがありましたが、その中でも解決策を見つけて高い勝率をキープしています。ただ、結果としては1ゲーム、今の成績から勝利がプラスされていてもおかしくないと思っています」

故障者などの問題があり望むスピードではないが、それでも着実にチームは進化していると強調する。「チームとして日々成長しています。選手をケガで欠く中、『何が何でも』という必死さが見られます。こういうところはのちに大きな勝ちに繋がってくると思います。チーム全体でお互いを助け合い続けて完成度を高め、2022年は私たちが望むチャンピオンシップで勝てるチームになれると思います」

今シーズン開幕前、ロシター、サイズとリーグ随一の大型補強を行ったA東京だが、ここまでベストメンバーで戦えた試合は少なく、チームのポテンシャルを存分に発揮できているとは言い難い。ただ、その中でも地区首位と1ゲーム差につけているのはチームの地力が高いからで、宇都宮相手の勝利もそれを証明するものとなった。