桜花学園

第3クォーターにディフェンスから試合を支配して奪ったリードを守り抜く

ウインターカップ4日目。準々決勝で桜花学園(愛知)が明星学園(東京)と対戦し、70-68で勝利した。

明星は29回出場の古豪だが優勝経験はなく、39年連続出場で優勝23回の実績を誇る桜花はいわば『格上』。それでも第1クォーター、桜花は全員が足を動かす明星のディフェンスに苦戦する。オフボールからプレッシャーをかけられたことでボールを回すことができず、バックコート陣がアタックを試みるもリングに嫌われてしまう。それでも、エースの朝比奈あずさがゴール下にミドルシュートと、第1クォーターの15点中11得点を一人で稼いだ。

桜花が朝比奈頼みだったのに対し、明星は全員で守って、全員で攻めた。留学生プレーヤーを擁する明星だが、彼女たち頼みではなくリバウンドにも全員で飛びつくことでポゼッションを増やしていく。得点も酒井杏佳が3ポイントシュート1本成功を含む7得点を挙げたが、他のメンバーもバランス良く得点を挙げ、桜花と渡り合った。

29-26と桜花がリードして迎えた後半。ディフェンスのギアを上げた桜花がリバウドやブロックショットからの速攻を立て続けに決め、開始4分半を12-2のランで突き放した。前半はなかなかボールが回らなかったが、「自分がしっかりスクリーンをかけて、周りがドライブしたところに合わせに入りました」と朝比奈が語ったように、彼女が囮になってチームメートのスペースを作り出したことで、第3クォーターの中盤には15点のリードを奪った。

しかし、井上眞一コーチとともに指揮を執った桜花の長門明日香アシスタントコーチが「最後はもうちょっと余裕を持って勝てるかと思ったんですが、ちょっと難しい展開になりました」と振り返ったように、ここから明星の猛攻を受けた。

明星の2年生ポイントガード、池田凜が素早いドライブからの巧みなユーロステップやミドルシュートを決め、池田に触発されたように明星は全員が迷いのないプレーを見せ、最終クォーターの残り30秒には2点差まで迫ったがあと一歩届かなかった。

この終盤の明星の追い上げは素晴らしいものがあったが、百戦錬磨の桜花は焦ることはなかった。朝比奈は言う。「焦りとかはそんなになかったです。今までやってきたことをしっかり出せば絶対に勝ち切る自信があったので、そこはチームにしっかり声をかけながらできたので良かったです」

一方、ベスト8で敗退となった明星のキャプテン、菅野響は目に涙を浮かべながらも、前日に「楽しみ」と語っていた桜花戦を終えて、「すごく楽しかったです」とスッキリした表情で語った。「最後まであきらめずに自分たちのバスケをし続けられて、最後はチームが一体になって戦って、一番楽しい試合でした」