福岡第一

「先生から怒られて、みんなで気持ちを切り替えました」

ウインターカップの大会3日目、前日に高知中央(高知)を破った北越(新潟)がシード校の福岡第一(福岡)に挑んだ。

走るバスケでは高校バスケ界でも突出した存在である福岡第一に対し、北越はスピードでの真っ向勝負を挑む。縦に早く仕掛ける田中秀吾が得点を奪ったのを皮切りに、ゴール下にサイズのある留学生プレーヤーがいるにもかかわらず積極的にドライブを仕掛けていった。福岡第一が走るだけでなくクオリティの高さも見て、轟琉維からノールックパスでのヌンビ・マトゥンガ・マイクのイージーダンク、星賀舞也や崎濱秀斗がシュート力の高さを見せるが、北越も食い下がる。

それでも23-17で迎えた第2クォーター、先発メンバーがコートに戻ると福岡第一の攻めに勢いが増し、個人技で仕掛けて巧みなフィニッシュワークを見せる。ディフェンスでもターンオーバーからのファストブレイクを一人残った佐藤涼成がブロックでしのぐ好プレーが出るなど、攻守に強度が上がる。

第2クォーター開始から4分で4-13のランを浴びた北越はタイムアウトを要求。ここで福岡第一が先発メンバーを下げたことで一息つくことができた。先発のマイク、ベンチから出るカマレ・ムレマ・フランシスと常に2メートルを超えるリムプロテクターのプレッシャーに苦しみながらも、ディフェンスで耐えて34-44と10点差まで戻して前半を終えた。

福岡第一の2年生司令塔、轟が「前半はディフェンスが緩くて何本もシュートを打たれていたので先生から怒られて、みんなで気持ちを切り替えました。後半はボールディフェンスから強くやっていけて良かったです」と語ったように、福岡第一がディフェンスを立て直した。

前から激しく当たり、最初のポゼッションで8秒バイオレーションを奪うと、その後もスティールからの速攻と、福岡第一らしいバスケットでリードを広げる。特に轟はディフェンスではスティールし、オフェンスでもフローターにジャンプシュート、ドライブ、そしてキックアウトから仲間の3ポイントシュートをお膳立てしてチームを牽引した。こうして、第3クォーターにリードを20点以上に広げると、最終スコア103-70で勝利した。

結果的には30点差をつけての完勝となったが、轟はチームとしての出来を「40点ぐらいです」と評価した。轟は「自分は2年生だけどスタートとして出させてもらっているので、チームを勝ちに導くためにしっかりやっていきたい」と言う。「僕は少ししか緊張しなかったですが周りのメンバーが硬かったので、自分が声かけをして、しっかりやらせるようにしました」

この試合で轟は20分の出場で13得点5アシスト3スティールを記録し、チームを引っ張ったが、「ディフェンスのところがまだ全然甘くて、リバウンド、ルーズボールもガードが行くべきところを取れていなかったです。そういう部分を直して、明日はもっと第一の速い展開に持っていきたいです」と明日以降の試合に向けて意気込んだ。