桜花学園

バスケに興味を持っている生徒たちに、もっとバスケに関わってほしい

高校女子バスケットボール界きっての名門・桜花学園高校が新しい取り組みで話題を呼んでいる。初心者も入部できる『第2のバスケットボール部』、通称『みんなでバスケ部』の創設だ。8月下旬に屋外バスケットボールコートが誕生し、9月中旬から本格的な活動が始まるというこの部が誕生した経緯や今後の展開について、指導を行う白慶花コーチに聞いた。

——まずは『第2のバスケットボール部』が誕生したプロセスについて教えて下さい。

もともと桜花学園のバスケットボール部は強化指定部で、特待生以外の生徒は入部することができません。ただ、「中学でバスケをやっていた」、「バスケに興味がある」という生徒は校内にけっこういるんですね。そういう生徒たちの声を拾い上げてくださった理事長先生の「もっとバスケットに関われる生徒が増えたらいいね」という思いから、私たちが『みんなでバスケ部』と呼んでいるこの部が立ち上がりました。

活動場所となるコートも誕生しました。グラウンドを改装したもので、3x3仕様のコートがフルコート1面あります。バスケだけでなくハンドボールもできますし、もちろん体育の授業でも使えます。いろいろな活用方法があるコートができることで、学校生活がより活気づけばいいなという思いも込められています。

——現在は何人で活動しているんですか?

10人です。6月ごろに経験者・初心者問わずバスケに興味のある子たちが集まってくれたらなという思いで募集をかけたら、10人ほどが手を上げてくれました。当時はまだコートがなかったので、強化指定部がオフの日を使って何度か体験会をしてみたんですが、強化指定部がいつも練習している体育館ということでプレッシャーを感じたのか、思ったほど生徒たちが集まらなくて……。ただ、そこからマネージャーの笠井菜未が部員集めをがんばってくれ、来てくれた生徒も他の子に呼びかけてくれたおかげで10人になりました。

——活動は週に何回ですか?

今はまだ暫定的に活動している段階で、これから本格的なスタートを切る予定なんですが、兼部している生徒も多いので、現状は週1回です。ただ「何曜日に活動する」と決めず、生徒たちの自主性を尊重して集まれる日に集まるという形が取れるのが理想ですね。それが週2になるか、週3になるかもこれから決めていきます。

桜花学園

生徒それぞれのバスケットへの思いを共有し、広げていきたい

——実際に活動してみていかがですか?

中学までバスケをやっていた子もいれば初心者の子もいるんですけど、けっこうみんな上手ですよ。コーチは私と佐藤ひかると2人いるので、最初は初心者と経験者に分かれて練習して、最後の5分は全員でミニゲームをやっていますが、みんな「楽しい」と言ってくれています。

ただ、最初はちょっと悩みました。ボールを触ったことがないような子たちを指導するわけですから、正しい基礎をしっかり教えるところからフォーカスすべきなのか、とにかく楽しくやれればいいというような形にするかといったところです。ただ、せっかく桜花学園に来ていて、「本チームを指導している、Wリーグでもプレーしたコーチが教えます」というところを押し出して募集をかけたので、今はしっかりバスケットを教えるところまでやっていきたいなと考えています。

ーー白コーチとしては、初心者に教えるのは新鮮なのではないですか?

そうですね。シュート練習で「みんなは入るけど自分は入らない」って落ち込んでいた子が、一声かけただけですぐニコニコしてくれたのは印象的でした。子どもたちって、ちょっとした声がけだけで表情や意識が変わるんだなってあらためて思いましたし、そういうところは本チームの指導でも生かせそうだなと思いましたね。

——日本一を目指してハードに練習している強化指定部がある一方での『みんなでバスケ部』。とてもユニークですしワクワクする取り組みですね。

オリンピックなどの影響でバスケットに興味や関心を持ってくれる方々が本当に増えていますし、それはウチの生徒たちも同じです。ただ、これはあくまで私の印象ではありますが、ウチのバスケ部は生徒みんなのあこがれの存在なので、「私もバスケが好きだけど言えない……」みたいな思いを抱えている子も多分いると思うんですよね。

新しいコートができたこと、『みんなでバスケ部』ができたことをきっかけに、みんなが持っているバスケットへの思いを何かしらの形で共有したり、広げていけたらなと思っています。やっぱりバスケットに携わっている者として、「バスケが好き」、「面白そう」、「やってみたい」っていう人たちの思いも大切にしていきたいですから。

——このチームの目的、目標といったところがあれば教えて下さい。

まずはより多くの生徒にバスケットを楽しむきっかけを作ることです。『みんなでバスケ部』と強化指定部がお互いに良いものを与えられる関係性になっていきたいですし、最終的には『みんなでバスケ部』から強化指定部に引き上げられる部員が出てきたら……なんてことも考えています。強化指定部のほうも引き続き多くの方に『応援したい』と思っていただけるようなチームを目指していきますので、よろしくお願いいたします。