オルシーGMの失脚が、CJ・マッカラムのトレードを後押しする可能性
新体制で再スタートを切ったトレイルブレイザーズは、ここまで11勝13敗と結果を出せていない。2018-19シーズンにカンファレンスファイナルまで進出したが、その後はプレーオフのファーストラウンド敗退が2年連続で続き、チームのピークは過ぎ去ったと見る向きも少なくない。
ニール・オルシーGMはロスターではなく指揮官に問題があるとして、デイミアン・リラードとCJ・マッカラムを育て上げたテリー・ストッツを解任して、チャウンシー・ビラップスにチームを託した。リラードの爆発力に託すストッツから、ディフェンスを重視してチーム力で戦うビラップスへ、チームスタイルは大きく変わったが、結果はさして変わらない。今もブレイザーズは守れないチームであり、東京オリンピックでの疲弊が残るリラードが本来の力を取り戻せないことで得点力も足りていない。
そんな中、『The Athletic』は複数の関係者による証言として、リラードがベン・シモンズ獲得を望んでいると報じた。リーグ屈指のシュート力を誇るリラードと、シュート力に難はあるがディフェンスとゲームメーク能力の高いシモンズ、タイプの異なる2人がバックコートコンビを組むのは面白いアイデアだ。
これに対し、リラードはファンのツィートに返信する形で「みんなドラマが好きだから」と投稿。遠回しに否定している。しかし、リラードの意向を抜きにしても、トレードの可能性はゼロではないはずだ。シクサーズにとって『シモンズ問題』は完全に行き詰っており、これを解決しなければチームは前に進めない。そしてブレイザーズも、このままではチームの大きな浮上は望めない。
ブレイザーズがシモンズを獲得するには、CJ・マッカラムを含めた大型トレードが必要になる。この夏、マッカラムにはトレードされる可能性があった。ブレイザーズにとってリラードは『絶対に手放せない選手』だが、2番手であるマッカラムは『リラード中心のチームに当てはまらないのであればトレードに出してもいい』という扱い。実際、セブンティシクサーズとの間で交渉はあったようだが、話はまとまらなかった。それはシクサーズ側の要求が高すぎたこともあるし、ブレイザーズ側がロスターに大きな変更を望んでいなかったからでもある。
オルシーGMはマッカラムへの思い入れが強い。大学まで大きな実績があったわけではない彼の才能に目を付け、2013年のドラフトで指名した。そこから9シーズン目の現在に至るまで、その成長を見届けてきた。オルシーにとってリラードとマッカラムのコンビはアンタッチャブルだった。
だが、そのオルシーは不正疑惑をスタッフから告発されたことでブレイザーズを去った。後任が誰になろうと、リラード放出に動くことはないが、マッカラムにはトレードの可能性が再び浮上する。シモンズが来ればブレイザーズは西カンファレンスのトップチームになれるだろうか。話はそれほど簡単ではないが、それがシモンズでなくても、今のブレイザーズには何らかの衝撃が必要なのは間違いない。
ブレイザーズらにとって最悪のシナリオは、リラードが退団を希望すること。リラード彼は一貫して球団への忠誠を誓っており、来年の夏にはスーパーマックス契約を結ぶことになりそうだが、トレード期限までブレイザーズ周辺では騒がしい日が続きそうだ。