ベンドラメ礼生

「スコアファーストで行け」の指示を体現し、チームハイの18得点

サンロッカーズ渋谷はレギュラーシーズン再開して初めての試合となった滋賀レイクスターズとの連戦に勝ち、強豪ひしめく東地区で3位をキープしている。

初戦は滋賀のノヴァー・ガドソンが欠場した影響もあり、前半で22点差をつける余裕の試合運びで圧勝したが、月曜ナイトゲームとなった第2戦は小澤智将に6本連続で3ポイントシュートを決められるなど、前半で4点ビハインドを背負う我慢の展開を強いられた。それでも、攻守が噛み合った第3クォーターを30-16と圧倒し、そのまま2桁以上の点差を保って95-82で勝利した。

SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは前半にリズムに乗れなかった要因をこのように語った。「ショットブロッカーがいないのに、滋賀のディフェンスを気にしすぎていた。ペイントまで行ってレイアップに行けるのに、勝手に(ブロックを)予測して、パスミスからの失点が多かったです。入る入らないは別として、シュートまで持って行けばいいのに消極的になっていました」

それを受けての「果敢にアタックしろ。スコアファーストで行け」という指示を体現したことで、内外バランスの良いオフェンスが生まれ、後半の逆転劇を呼び込んだ。結果的に5人が2桁得点を記録したが、その中でもチームハイの18得点を挙げたベンドラメ礼生のパフォーマンスは際立っていた。ベンドラメは約25分間のプレータイムで18得点を挙げ、5アシスト2スティールと大事な役割を果たした。

ワールドカップ予選に出場したベンドラメがチームに戻って練習できたのはわずか2日間。日本代表では新たに覚えるコールプレーの数が多く「サンロッカーズに戻って来た当初は思い出すのに時間がかかった」と言う。

主にマークを受けた野本大智はタフなディフェンスに定評のある選手だが、そこで受け身になることなく持ち味の突破力を生かしたリムアタックを繰り返し、滋賀のディフェンスを攻略するきっかけを作った。「昨日の試合であまり意識していなかった時にボールを触られたりしたのが多くて、そこはアジャストしなきゃいけないと思っていました。あれだけプレッシャーをかけてくるので、縦に抜くのはそんなに難しくないと思っていました」と、ベンドラメは言う。

ベンドラメ礼生

「タフな試合になることは間違いないので、いかに連敗しないか」

バイウィーク中のチーム練習はディフェンスにフォーカスすることが多かったというが、タイミングとスペーシングに時間を費やしたオフェンス面の向上も明らかに見られた。実際に滋賀との2試合合計で197得点を奪い、伊佐ヘッドコーチも「昨日も今日も悪くなかった」と評価している。

前述の通り、代表で多くのフォーメーションを覚える必要があったベンドラメは「正直、バイウィーク前のことを覚えていないくらい」と語ったように、以前のオフェンス面の手応えを詳しく覚えていないようだ。

それでもこの2試合のスコアが示すように、感覚的にオフェンスの完成度が高まっていることは感じている。「試合を重ねるごとに全員でボールをシェアするスタイルは出来上がってきているように思います。練習の中でもその意識はあるし、バランス良く攻めれている、その成長は感じます」

大黒柱のライアン・ケリーが開幕早々に離脱したにもかかわらず、SR渋谷は12勝4敗という好成績で東地区3位をキープしている。だが、ここまでのSR渋谷は東西トップ3のチームとの対戦がまだない。ベンドラメもそれを理解し、「今の順位は気にしていない」と語る。

「まだ20試合も終わっていないですし、シーズンは長いです。前半は良くても東地区との試合が増えてきた後半に順位が難しくなっていく経験をしています。これから上位チームとの対戦が増えてきた時にいかに自分たちの強みを生かせるか。もちろん連勝することが一番ですけどタフな試合になることは間違いないので、いかに連敗しないか。勝ち切れる力はついてきていると思うので、接戦をモノにする心構えをこれからも作っていきたい」

ベンドラメは過去の経験を生かし、目先の1勝に一喜一憂せず長い目でシーズンを見ている。