「もっと安定感のあるガードになりたい」
ワールドカップ2023予選Window1、中国との第2戦に臨んだバスケットボール男子日本代表は、第1戦と同様に立ち上がりの悪さを改善できず73-106の大敗を喫した。
日本は第1戦から4名のメンバーを変更。初代表の寺嶋良は流れの悪い序盤にコートに送り出されたが、すぐさま持ち味のドライブからレイアップを決めて、代表初得点を記録した。「限られたプレー時間の中ですべてを出し切ろうという気持ちで、最初からフルスロットルでプレーした」という寺嶋は、最後まで攻め気を失わずにリングへアタックし続け、チームハイの16得点を奪う活躍を見せた。
寺嶋はハーフコートオフェンスでのドライブだけでなく、日本が今後強みにしていきたい速攻でも存在感を示した。寺嶋もトランジションオフェンスには手応えを感じたと言う。「スピードの部分はかなり大きいと思っています。トランジションで先陣を切って運ぶことでウイングの選手も走ってくれて、すごく良い流れになりました。それは海外を相手にしても通用したと思います」
また、寺嶋のドライブが威力を発揮したのは、トム・ホーバスヘッドコーチが彼の得意とするコールプレーを選択しれくれたからだとも言う。「相手がアグレッシブに間合いを詰めてディフェンスをしてきたので、その分ドライブできたのもあります。僕の得意なコールプレーがあって、それをトムからやるように言われて、それが第3クォーター、第4クォーターで使えたことも打開できた一つかなと思っています」
試合内容は総じて厳しいものだったが、寺嶋にとっては代表アピールに成功したデビュー戦となった。それでも、やはり課題も多く見つかり、特に中国の高さとプレーメークの点を向上させる必要があると寺嶋は感じている。
「距離感的にこれだったらブロックされないっていう距離で打ったんですけど、最初の2回のレイアップを触られてしまい高さに対応できませんでした。そこからいろいろ工夫したんですけど、まだアジャストできなかったので、そこは次に繋げたいです。また、ガードとしてクリエイトできなかったことが僕の中ですごく課題なので、もっと安定感のあるガードになりたいと思っています」
「成長していかないとこれから世界で戦っていけない」
次のワールドカップ予選は来年2月に行われる。それまで各選手はそれぞれのチームに戻ってリーグを戦いながら個々の成長に励むことになる。トムコーチが目指す新たなスタイルを忘れないためにも、今後のリーグでの戦い方が重要になる。寺嶋もそのことを理解している。
「これから2月まで時間が空いてしまい、これでチームとしては一回バラバラになってしまうんですけど、それぞれの課題や改善点をチームに持ち帰って、そこでまた成長していかないとこれから世界で戦っていけないと思います。僕らは日本代表として繋がっていることを意識して、それぞれの課題を改善していきたいです」
「代表のユニフォームを着ていることはすごくエネルギーになりましたし、たくさんのお客さんが来てくれて本当に自分らしいプレーもできた」と、代表デビュー戦ながらチームハイの得点を叩き出したことは自信になっている。所属する広島ドラゴンフライズでクリエイト力を磨き、再び2月の戦いで日の丸を背負う彼の姿が早く見たい。