齋藤拓実

「頭を使うバスケットは自チームでもやっているのでかなり似ている」

バスケ男子日本代表はトム・ホーバス新体制となったことで、これまでのサイズアップ路線を一度白紙に戻した。その結果、前フリオ・ラマス体制では縁のなかった多くの選手が代表候補に選出されている。171cmの齋藤拓実もそのうちの一人だ。

齋藤は「A代表に選ばれるのは初めてなので率直にうれしい気持ちがあります。Bリーグでの試合を見て僕を評価してくれたので、普段の僕のプレーをすればトムさんも評価してくれると思います。まずは合宿で自分らしいプレーができたらいいなと思っています」と、普段通りのプレーを心掛けている。

齋藤は所属する名古屋ダイヤモンドドルフィンズで不動の先発ポイントガードを務め、平均22.9分のプレータイムで12.1得点、6.1アシストと安定感抜群のパフォーマンスを見せている。また、3ポイントシュート成功率はキャリアハイの46.2%を記録しており、3ポイントシュートを重視するトムコーチのスタイルにフィットするはずで、「普段の僕のプレーをすればトムさんも評価してくれる」と言うのも理解できる。

さらに齋藤は名古屋Dと代表のスタイルが似ていることにも言及し「やりやすい」と語った。「3ポイントシュートが主体になってくると思うんですけど、その場でディフェンスを見てカッティングのタイミングを判断したり、頭を使うバスケットは自チームでもやっているのでかなり似ていると思います」

初選出の選手が多い今回のメンバー構成の中で、やりやすさを感じるのはアドバンテージとなる。それでも代表のセットプレーの内容は自チームとは違い、その数も多くなる。単に暗記すればいいだけではなく、周りの選手の動きも頭に入れなければいけないため、その作業をクリアするのに苦労しているという。

「トムさんからも言われているんですけど、セットプレーが多いのでそれをまずしっかり覚えることと、各ポジションの動きも覚えてしっかり指示できるようにしなきゃいけないと思います。どっちのサイドから始めてどっちのウイングプレイヤーに最終的にボールを渡したいかとか、その辺までポイントガードは考えないといけないので。ある程度把握はしていますが、試合の中でポンポンポンとコールはまだできないと思うので、早めに慣れていかないといけないと感じています」

齋藤拓実

前述の通り前ラマス体制では、田中大貴がポイントガードにコンバートしたようにサイズが求められた。その中でも富樫勇樹はプレータイムを確保しており、今回も彼が一つの枠を得る可能性は高い。ポイントガードの残りの枠を争う競争は熾烈さを増しているが、齋藤はライバルたちに目を向けず、自身にフォーカスしている。

「世界でも富樫選手が通用している部分があったと思いますし、僕もクリエイトする部分とかは富樫選手と同じようにできると思っています。ヘッドコーチがよく言うのは、選手それぞれに役割があるということ。シューターは外でシュートを打つ、カットのタイミングを合わせるなどがあって、ポイントガードの僕の場合はペイントにアタックしてクリエイトするのが得意なので、そこが必要になってくると感じています。世界でどれくらい通用するのかは楽しみな部分でもあります」

Bリーグでハイパフォーマンスを続ける齋藤が候補に名を連ねたのは必然だった。舞台が世界に上がった時、彼がこれまでのような活躍を見せられるかは非常に興味深い。