ルカ・ドンチッチ

写真=Getty Images

1年目に苦渋を飲まされた自身のキャリアを例に挙げる

マーベリックス一筋のキャリアを続けているダーク・ノビツキーは、2007年にヨーロッパ出身選手として初めてシーズンMVPに輝くなど、NBAにおける『欧州のパイオニア』として知られている。そのノビツキーが舌を巻く才能の持ち主が、2018-19シーズンからNBAでプレーする新人ルカ・ドンチッチだ。

弱冠19歳にしてヨーロッパのタイトルをほぼ総なめにしたドンチッチは、NBAデビュー前から『天才』と称賛されている。ノビツキーも、『105.3 The Fan』とのインタビューで「サイズ(201cm99kg)があるのにボールを持っての技術がすごい。ピック・アンド・ロールのプレーも素晴らしい。コート上での視野の広さも持っている。もうすぐ20歳の選手とは思えない」と絶賛した。だが、自身の経験を踏まえ、過度な重圧を与えることを良しとしていない。

1998年のドラフト全体9位でバックスから指名され、後にマブスにトレードされた当時のノビツキーも、現在のドンチッチと同様に、デビュー前から高い評価を受けた。しかし、NBAキャリア序盤はフィジカルレベルに対応しきれず、ディフェンスで簡単に押し負けてしまうことから『Irk Nowitzki(Dがないという意味)』という蔑称で呼ばれた時期があったほどだった。当時についてノビツキーは「自分も20年前にアメリカに来て、彼と同じことを経験した。苦しかったよ。たくさんのことに慣れないといけないからね。僕は慣れるのに丸1年かかった。あの1年は本当に大変だったし、辛かった」と、振り返る。

もちろん、ドンチッチが自分の二の舞を踏むと決めつけているわけではない。それでもノビツキーは、これからのマブスを背負って立つ逸材を、あらゆる面でサポートしていくつもりだ。

「彼の成長に役立つことなら、なんでもする。彼が楽しく過ごせて、学べるように手助けするつもりだ。そうすることで、これから1年、あるいは数年内にベストのルカが見られると思う」

NBAキャリア21年目を迎えるノビツキーにも、確実にコートを去る時は近づいている。その時が来るまでに、彼は次代の『フランチャイズプレーヤー』筆頭候補のドンチッチに、勝者としての経験を伝えようとしている。