西田優大

「今回の合宿ではしっかり積極性を出していきたい」

西田優大は日本代表候補の常連だ。2016年夏のリオ五輪への出場権を逃した後、東野智弥が技術委員長に就任して代表強化の舵を取るようになって最初に選ばれた重点強化選手68名の最年少が、当時まだ高校生だった西田だった。

フリオ・ラマスが代表ヘッドコーチを務めた期間を通じて代表合宿には呼ばれ続けたが、12人のエントリーメンバーに残って試合に出場するのは簡単ではなかった。今回、新体制となった代表合宿に、西田は新たな気持ちで参加している。

「ラマスさんの時からずっと選んでもらっていますし、それとは別で今回は新体制ということで、新たな気持ちで合宿に臨んでいます。オリンピックメンバーが多少抜けて、自分にはある意味チャンスがあると思っているので、自分の強みを出していければと思っています」

東海大で結果を残しつつ、特別指定で名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、プロ契約を結んで新潟アルビレックスBBでプレーした西田は、今夏に加入したシーホース三河ではスタートを任されており、平均12.1得点と数字もきっちり残している。その自信も、今回の代表合宿に持ち込めている。

「前回のオリンピック前が、初めて学生という枠を外して選んでもらったんですけど、そこでなかなか結果を出せず悔しさもありました。今回の合宿ではしっかり積極性を出していきたい。ラマスさんには『代表でこれだけできているのに、なぜ大学で点を取っていないんだ』と言われたことがあるので、積極性の部分はどんどん出していきたいと思います」

西田優大

「少しでも馬場選手に近づけるようなプレーができれば」

サイズを重視するラマスからスピードを求めるホーバスに指揮官が代わり、日本代表で求められるプレーはこれまでとは異なるものになる。それでも190cmのサイズがあり、ディフェンスと3ポイントシュートが得意なオールラウンダーの西田はどんなバスケにも対応できる。

「女子の試合を見ていても、町田(瑠唯)選手がよくピック&ロールを使って2番、3番がシューターのイメージがあるんですけど、男子の代表でも今の形は結構似ている部分があって、ハンドラーよりはシュートに重きを置いている」と、自分のオールラウンドな能力の中でもトムコーチの求める3ポイントシュートを前面に出していくつもりだ。

その中で「同じポジションの選手が非常に多いですし、須田(侑太郎)さんであったり今村(佳太)さんであったり3ポイントの確率が高い選手が多いので、負けられないという刺激が一番にあります」と、代表でのサバイバルレースを勝ち抜く意欲に燃えている。

「Bリーグの試合で外国籍選手とマッチアップする機会も多くなっていて、そこでしっかりやれるのは自分の強みでもあるので、3ポイントで貢献したいのはもちろんですけど、フィジカル的なディフェンスの部分でも貢献できればと思っています」

彼がイメージするのは馬場雄大だ。「渡邊雄太さんよりは馬場雄大選手のようなガツガツしたプレーで、それは実際にラマスさんから言われたことがあります。若いうちからもっと積極的にやりなさい、という部分で少しでも馬場選手に近づけるようなプレーができればと思います」

ラマスとは全く異なるバスケを志向するトム・ホーバスを起用したことで日本代表のスタイルは一新されることになり、代表強化の『継続性』は途切れることになった。ただ、選手が積み上げた経験はそれぞれの中に残る。若い西田がこれまで積み上げた努力が今回の代表でブレイクに繋がるか。学生らしさがすっかり抜けて、タフに戦えるようになった西田の飛躍に期待したい。