小島元基

「前半は苦しみましたが、最終的に上手くまとめられて良かった」

11月1日、アルバルク東京は天皇杯3次ラウンドで滋賀レイクスターズと対戦。第3クォーターまで一進一退の息詰まる熱戦となるが、第4クォーターで一気に突き放して92-75で勝利し、ベスト10進出まであと1勝に迫っている。

滋賀はこの試合で様々なディフェンスを仕掛け、揺さぶりをかけてきた。しかし、A東京は指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチが振り返るように落ち着いて対応した。「滋賀さんがチェンジングディフェンスで、ピック&ロールに対応してきました。ゾーンディフェンスでは、3-2、2-3、2-1-2、田中大貴にマンマークでついてのボックスワンなど様々な形を敷いてきましたが、我々がしっかりと冷静に読んで、特に後半は良いオフェンスに繋がったと思います」

一方でディフェンスについては「滋賀さんにトランジションでかなり走られた印象があります。そしてオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを取られてしまいました」と指揮官が反省したように苦戦した。しかし、そんな中でもA東京らしい強靭なメンタルで我慢を続けたことで、滋賀の遂行力が落ちた隙を逃さず第4クォーターで31-16のビッグクォーターを作った。

ルカコーチは語る。「第1クォーターから第3クォーターまでしっかり粘りきったことで第4クォーターに我々の時間が来ました。特にファストブレイク、イージーバスケット、オフェンスリバウンドを防げたことで、我々が走ってイージーに得点できるようになりました」

第4クォーターの中でも特に大きかったのは、69-66で迎えた残り7分からの連続10得点だった。このビッグランは小島元基によってもたらされた。まず、小島は3ポイントシュートを決めると、直後にボールプッシュで滋賀のアンスポーツマンライクファウルを誘発。このフリースローを2本決めると続くオフェンスでもペリメーターからシュートを成功させた。そして、トランジションからアレックス・カークのバスケット・カウントを導くアシストと、すべてに関与した。

小島元基

「トーナメントなので明日、勝たないと意味がない」

この活躍を含め、小島は14分17秒の出場で3ポイントシュート2本を含む12得点3アシストと、抜群のインパクトを与えた。それでも本人は目の負傷で10月17日の試合以降は欠場を続け、前日のアルティーリ千葉戦で復帰したばかりとあって、シューティングは本調子ではない認識で、次のことをより意識している。

「目の負傷で休んでから、昨日が久しぶりの試合でした。そこでちょっとズレているなと、実際にシュート打ってみて思っていました。今はディフェンスとしっかりコントロールすることがすごく大事です。それさえできれば絶対に負けないという感じです」

そして試合全体をこう総括する。「滋賀さんがアグレッシブに来て、ゾーンを混ぜていろいろなディフェンスをすることは分かっていました。そうなってくると自分や(ジョーダン)テイラーさん、(田中)大貴さんのゲームコントロールが重要になってきます。前半は苦しみましたが、最終的に上手くまとめられて良かったと思います。終盤までとにかく離されなければ相手も疲れてチャンスが来ると思っていました。それをモノにできて良かったです」

本日、A東京は3次ラウンドの最終戦で香川ファイブアローズと対戦する。「トーナメントなので明日、勝たないと意味がない」と小島が語るように、ここで負けてベスト10への切符を逃しては、過去2試合の勝利も無駄になってしまう。

相手の香川はB2だが、横浜ビー・コルセアーズ、三遠ネオフェニックスとB1チームに連勝しており、ルカコーチが「勇敢で野望を持った尊敬すべきチーム」と言うように、全く楽観はできない。それでもこの試合のように序盤で先手を取られても慌てず、ゲームプランをしっかり遂行していくことができれば、地力で上回るだけに自然と結果はついてくる。そのためには、小島の手堅いゲームメークと効果的な長距離砲に期待だ。