終盤まで続く接戦、富山の守備にストレスを溜めた大阪が自滅
開幕から8試合勝ちのなかった富山グラウジーズが、大阪エヴェッサを相手に粘り勝ちを収めた。
先手を取ったのはホームの富山。前節から先発を任された上澤俊喜がボール運びを担い、ドワイト・ラモスも積極的なアタックを見せる。ジュリアン・マブンガとジョシュア・スミスのワンツーパンチは強力だが、この2人のワンパターンな攻めになってしまえばチームにとっては悪い流れ。相手は対応しやすいし、2人は過度に消耗することになる。それでも今日は上澤がコントロールし、ラモスにアタックさせることでオフェンスのバランスが改善。上澤が3ポイントシュートを2本決め、ラモスも積極的に攻めて9得点とオフェンス好調で、第1クォーターで27-15と先手を取った。
富山のシュートが高確率で決まることで、大阪はリバウンドから走る展開に持ち込めない。それでも富山は第1クォーターには5本決まった3ポイントシュートが第2クォーターになると1本も決まらなくなり、走る展開へ持ち込む大阪に試合の流れは傾いた。
前半を終えて39-41と1ポゼッション差まで追い上げた大阪は、後半に入って合田怜の連続3ポイントシュートにカイル・ハントの速攻からのバスケット・カウントで逆転に成功する。ただ、富山は大阪のディフェンスの圧力に押され、スペーシングも試合序盤ほど上手くいかない中で、バランスアタックができている間に消耗しなかったマブンガがオフェンスを引っ張り、ラモスもコンスタントに得点を重ね、晴山ケビンがわずかな出場時間の中で3ポイントシュートのチャンスをきっちり決める。
第3クォーターは20-20と互角。富山が辛抱すべき時間帯に踏ん張ったのに対し、最終クォーターに入って大阪が崩れる。きっかけは富山の積極的な守備だった。終盤の爆発力に定評のあるディージェイ・ニュービルには常時ダブルチームを仕掛け、それをかわしても水戸健史が飛び込み、必要以上にコンタクトしてストレスを与えていく。これが効いてニュービルはアタックに行けてもシュートが決まらなくなり、その間に富山はマブンガの技巧、水戸のランニングプレーと良い攻めでリードを広げていった。
とはいえ富山はスローインがなかなか決まらず、大阪の爆発力を考えれば余裕の展開ではなかった。それでも残り1分14秒、こちらもストレスを溜めたアイラ・ブラウンが自らタフショットを打って外し、リバウンドを押さえたマブンガを止めて個人5つ目のファウルで退場に。マブンガがこのフリースロー2本を決め、76-67と突き放した。
攻守の柱であるアイラが集中力を切らして退場したのではチームは立ち直れない。最後に一気に差を広げられ、最終スコアは82-67と差が付いた。
開幕からの連敗を8で止め、浜口炎ヘッドコーチは「苦しみながら一つ勝てて、すごくうれしいです」と語るとともに、「チームで、みんなで、仲間を信じてやっていきたい」と、まだまだ先が長いシーズンをチームの結束力で乗り切るつもりだ。
開幕には間に合わなかったドワイト・ラモスがチームにフィットしてきて、20得点6リバウンド3アシストと活躍。ニュービルを抑え込み、さらに要所で思い切ったアタックを見せ7得点を挙げた水戸の活躍も見事だった。先発ポイントガードの重責を果たした上澤も含め、ようやく戦力が整ってきた富山。浜口ヘッドコーチが語るように「みんなで」やっていくことが浮上のカギになる。
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