デマー・デローザン

「優勝を狙うチームに、できる限りベストな形で貢献したい」

今シーズンからブルズでプレーするデマー・デローザンは、球団の再建を助けるためではなく、NBA優勝を手にするためにシカゴへの移籍を決めた。

ザック・ラビーンとニコラ・ブーチェビッチに、補強としてデローザン、ロンゾ・ボール、アレックス・カルーソを加えたブルズは、主力を大幅に入れ替えたことで機能するまでには時間がかかると見られ、開幕前の評価は決して高くなかった。それでも開幕から1週間で無敗を守っているのは3チームのみ。ウォリアーズは3試合、ジャズは2試合しか消化しておらず、下馬評を覆して4連勝と開幕ダッシュに成功したブルズのインパクトはとてつもなく大きい。ブルズにとって開幕4連勝は、マイケル・ジョーダンを擁する黄金期の1996-97シーズン以来のことだ。

現地10月25日のラプターズ戦、デローザンにとってはルーキーイヤーから9シーズンを過ごした古巣を相手にゲームハイの26得点を記録。常にリードする展開ながら終盤に猛烈な追い上げを浴びたが、デローザンはクラッチタイムにジャンプシュートとフリースローを決めて、粘るラプターズを振り切る勝利に貢献した。

試合後の会見でデローザンは「このチームは再建ではなく優勝を狙う段階にある」と語った。

「僕がこの球団と契約したのは、全員が成功を望み、責任を持って仕事をしていたからだ。シカゴという街もそうだし、フロントも、僕が話をした選手も、全員が今シーズンの優勝を目標にしている。僕も同じだ。今すぐに勝ちたい。優勝を狙うチームに、できる限りベストな形で貢献したい」

25年ぶりの開幕4連勝ともなれば、シカゴの熱狂的なファンが興奮するのは容易に想像できる。だがデローザンは「まだまだ先は長い」と冷静だ。「4連勝を名誉ある記録のように考えたりはしないよ。次の試合の方がより厳しいものになると思って臨まないといけない」

デローザンについて、開幕から4試合が経過しただけだが興味深い数字がある。それはフリースローの試投数だ。今シーズンからファウルに関する基準が変更され、フリースローの数が激減している選手もいる中で、デローザンはいつもと変わらない数字(キャリア平均6.4に対して6.7)をキープしている。この数字について感想を問われたデローザンは「僕はフロップ(ファウルをもらうために審判の目を欺く行為)をしないから」と笑顔で答え、スパーズ時代のグレッグ・ポポビッチとのエピソードを明かした。

「スパーズ時代にこんなことがあった。僕は相手との接触が多い選手だ。ポップ(ポポビッチ)はファウルをコールされて当然のプレーがあると考えていたようで、ある時『フロップしたらどうだ? トライしてみても良いんじゃないか?』と言われたよ」