藤井祐眞

「我慢して悪い流れでもディフェンスで崩れず、粘りを見せられた」

10月16日、川崎ブレイブサンダースが敵地で琉球ゴールデンキングスと対戦。前日に86-105で大敗と崩壊したディフェンスを立て直すと、揃って24得点を挙げた藤井祐眞とニック・ファジーカスの活躍もあり73−69で我慢比べの試合を制した。

試合の出だし、川崎はいきなり連続ターンオーバーとつまずく。守っては終盤にアレン・ダーラムの3ポイントシュート、ジャック・クーリーのオフェンスリバウンドからの得点と、要注意の2つで失点し、第1クォーターで10-20と劣勢のスタートとなった。それでも第2クォーターに入ると、ファウルトラブルからリズムを崩した琉球に対し、ニック・ファジーカスがこのクォーターだけで10得点と奮闘。また、激しくプレッシャーをかけることで琉球の拙攻を呼び、4点差まで縮めて前半を終える。

後半に入っても川崎は守備の強度をキープし、琉球が引き続きミスを重ねていく中、「前半でちょっと脚を痛めてしまいました」と佐藤賢次ヘッドコーチが試合後に明かすシューターのマット・ジャニングが後半プレーしなかったこともあり3ポイントシュートは不発に終わるが、ファジーカスを軸にインサイドを粘り強く攻め、53-53の同点に追い付く。

迎えた勝負の第4クォーターはともに堅守が光り、開始4分間において両チームが挙げた得点は川崎の2点だけと、ロースコアの我慢比べに突入する。この均衡を破ったのは藤井だった。残り5分49秒にバスケット・カウントを決めるなど、持ち前の個人技を生かしこのクォーターだけで10得点をマークする。

この藤井の活躍で川崎が突き放しにかかるが、琉球も岸本隆一と今村佳太の3ポイントシュートなどで粘る。しかし、同点で迎えた残り2分15秒、川崎は藤井が再びバスケット・カウントを決めると、残り49秒、篠山竜青がリードを5点に広げる値千金のプルアップシュートを決めて勝負ありとなった。

前日のリベンジを果たした川崎の佐藤ヘッドコーチは、勝因をこう語る。「昨日に引き続きタフな試合になりました。ただ、昨日は途中でキレてしまう場面がありましたが、今日は我慢して悪い流れでもディフェンスで崩れず、粘りを見せられた。相変わらずリバウンドは取られていますが、しっかりファイトした結果で成長が見られて良かったです」

また、「絶対にやり返さないといけないと選手たちが思ってくれました」とチームの精神面に加え、「普段やっているのと違うプレーも作りました」と戦術面の変更があったことも明かし、選手、コーチ陣それぞれの頑張りでつかんだチーム一丸の勝利を強調した。

ニック・ファジーカス

初戦を落とし、2戦目で勝つ展開に「準備不足な面はあります」

これで川崎は宇都宮ブレックスとのアウェーゲームだった前節に続き、初戦で守備が崩れた後、2戦目に接戦を制す形での同一カード1勝1敗となった。この結果と内容を指揮官はこうとらえている。

「2戦目にカムバックできるところに関しては成長を感じています。1戦目で出た課題を共有して、上手くいかなくても我慢してフォーカスする。これはチームの課題として取り組んでいるところです。ただ、選手それぞれの責任として準備不足な面はあります。もう少しチームとして、1戦目の準備をやっていかなければいけない反省点はあります」

また、ジャニング、前田悟と期待の新戦力のフィット具合については、まだ6試合を終えただけで発展途上ではあるが、「ベースになる部分の導入、連携はかなり良い感じのところまで来ています」と手応えはある。

しかし、一緒に長くプレーしてきたメンバーとの差は歴然としており、今日の勝利は以前からチームを支えるメンバーの一体感がもたらしたものだ。「今日も竜青、祐眞、ハセ(長谷川技)、J(ジョーダン・ヒース)、ニックで出た時の阿吽の呼吸は強いとあらためて思いました。そこを新しいメンバーを含めてどれだけ積み上げていけるのか。時間をかけ、今日のような試合を経て積み上げていけるものもありますし、あとはよりコミュニケーションを取って強いチームを目指していきたいです」

1勝1敗の結果と同じく、収穫と課題がともに見えた川崎の沖縄遠征となった。前日の105失点は衝撃の数字となったが、そこから立て直したように、相対的に見ればチームは着実に前進できている。