キングス

極端ではあるものの即効性のある補強で『3年目の勝負』に

2018-19シーズン、2年目のディアロン・フォックスを中心にオールスターまでを30勝27敗と勝ち越したキングスは、若手の才能が溢れるリーグの中でも屈指の将来を期待されるチームでした。しかし、その後の2シーズンをいずれも31勝41敗と負け越し、成長が見られないまま時間だけが過ぎています。

成績に変化がない一方で、内容には成長が見られます。昨シーズンのフォックスは25.2得点、7.2アシストと驚異的な個人能力を発揮しました。弱点である3ポイントシュートは32.2%と振るわなかったものの、逆に言えばこれだけアウトサイドが決まらないにもかかわらずハイスコアを実現しており、リーグ最高のスピードスターぶりを存分に披露しています。またターンオーバーが少ないのも特徴で、ポイントガードとしてチームをリードする能力にも秀でています。

しかし、ドラフトではポイントガードのデイビオン・ミッチェルを指名しました。昨年のタイリース・ハリバートンに続き、すでに戦力が充実しているガードのポジションで有望株を集めるのは奇妙ではあるものの、フォックスからゲームメークとディフェンスの負担を軽減し、よりスコアラーとして輝かせる狙いなのかもしれません。フォックスがドライブすると誰もトランジションディフェンスに戻らないこともあっただけに、3人のポイントガードを並べることでより安定した試合運びを目指してもいそうです。

移籍の噂があったバディ・ヒールドが残留したこともあり、ガードには主力選手が多くなり、より早い展開で打開を狙ってきます。その一方でリショーン・ホームズと再契約しただけでなく、トリスタン・トンプソンをトレードで手に入れ、ビッグマンの人数も増やしてきました。ウイングタイプの選手は少なく、ガードとビッグマンが多い不思議なロスター構成となっています。

キングス

ディフェンスを改善しなければいけない場合、スピードとフィジカルを備えたウイングプレイヤーを集めるのが定石ですが、キングスの弱みが38.0%決められた3ポイントシュートと10.7本とられたオフェンスリバウンドにあったため、アウトサイドでプレッシャーをかけられるガードと、リバウンドの強いセンターを集めたとも考えられます。

ポジションバランスを考えた補強をしてきながら勝率を上げられなかった2年間の失敗があっただけに、極端ではあるものの即効性のある補強をしてきました。アンバランスであってもオフェンスは『フォックスがいれば何とかなる』わけで、ディフェンスの改善を優先したのかもしれません。

ルーク・ウォルトンにチームを託して3年目。2年間の失敗を経た今シーズンにキングスは花を開かせるのか。何かを変えなければいけないシーズンに、キングスは興味深いチャレンジをしてきました。

https://youtu.be/I6R8miF2b-U