選手層の厚みを加え、東のトップに躍り出る可能性を秘める
大型補強を行った昨シーズンのホークスは、ケガ人の多かったシーズン前半に低迷したものの、オールスター以降は東カンファレンスでトップとなる25勝11敗を記録し、その勢いのままプレーオフではカンファレンスファイナルまで進みました。オフになるとジョン・コリンズとの契約延長も締結し、戦力をキープに成功して新シーズンに臨みます。
まだ4年目ながら圧巻のプレーでチームを牽引するトレイ・ヤングが、ルーキー契約の最終年でサラリーが抑えられていることもあり、サラリーキャップを活用して実力者を揃えることができました。この充実した選手層がホークスの最大の強みとなります。ベンチからルー・ウィリアムスやダニーロ・ガリナーリが控えていることは、ネッツやバックスなどの『ビッグ3』と比べて、長いシーズンではコンディション面での強みを発揮でき、一気に東カンファレンスのトップに躍り出る可能性を秘めています。
チームの中心となるヤングとコリンズは、アリウープを量産するダイナミックなオフェンスを作り上げますが、昨シーズンの成功はディフェンス面の強化にありました。クリント・カペラがゴール下でリムプロテクターとして構え、コリンズはアウトサイドでも積極的にプレッシャーをかけていくことでディフェンスに安定感が生まれ、プレーオフを勝ち進めるチームへと進化したのです。
一方でカンファレンスファイナルではヤニス・アデトクンポやクリス・ミドルトンを止められず、ウイングディフェンスには課題が残っています。ケビン・デュラントを擁するネッツやジミー・バトラーを中心とするヒートなど、ライバルチームの事情を考えると、ホークスがトップを狙うにはウイングの成長が重要になります。
注目は3年目を迎えるディアンドレ・ハンターとキャメロン・レディッシュ。チームが勝ち続けたシーズン後半からプレーオフにかけて、2人ともケガで離脱していました。それだけにこの2人の活躍が明確な上積みになってきます。目立った補強がなかったホークスですが、ヤングとコリンズも含めて若手の伸びしろが大きいだけに、昨シーズンを大きく上回る勝ち星が期待されます。
プレーオフで結果を残したとはいえ、まだ一回だけの躍進に過ぎず、チームに『勝利のメンタリティ』が定着しなければ簡単に下位チームに戻ってしまう危険性もあるだけに、何よりも勝利にこだわるべきシーズンになります。東カンファレンスはプレーオフ争いが混戦になることが予想されますが、ホークスが目指すべきは『混戦から抜け出す』ではなく『リーグトップに躍り出る』こと。
トレイ・ヤングという若きスター選手を擁して常勝チームへと進化できるか、それとも『有望な若手の多いチーム』のまま足踏みしてしまうのか。成功した次のシーズンだからこそ、圧倒的な進化を期待したくなります。