金丸晃輔

文・写真=鈴木栄一

3人によるオフェンスがなくなるのは僕にとって痛い

オフシーズンの間、各チームには様々な変化が起こった。その中でもシーホース三河は最も大きな激震に見舞われたチームと言える。橋本竜馬、比江島慎とチームの中心を担っていた2人が一気に移籍したのだ。それだけに、金丸晃輔にはこれまで以上に大きな期待が寄せられる。

パナソニックの休部に伴ってアイシンシーホース三河に加入して以降、金丸にとって橋本と比江島は、ともにチームを支えてきた盟友であり、3人だからこそ生み出すことのできたプレーも多かった。だからこそ、今の金丸は自分の新たなスタイルを模索している。

「橋本、比江島、僕の3人でやっていたようなオフェンスは、多分できない。昨シーズンまでと同じようにはならないと思います。3人によるオフェンスがなくなるのは僕にとって痛いので、今は新たなやり方を模索中です。1対1から打開していく手もありますが、それだとチームのリズム的にどうかなという考えが僕の中にあります。そうは言っても、行ける時はどんどん行って良いと思いますし、まだちょっと僕自身も分からない状態です」

ただ、そんな状況でもはっきりしていることがある。「自分が得点を取ることは前提としてあり、さらに大事な時間帯をしっかり見極めて冷静にプレーしていきたい」と語るように、要所を締める存在となることだ。

金丸晃輔

よりリーダーシップを「プレーで引っ張っていけたら」

「僕はどっちかというと引っ張るタイプじゃないんで(笑)」と自らを評する金丸だが、彼なりのスタイルでリーダーシップを発揮していく。「声を出して引っ張るタイプではないので、どちらかと言ったらプレーで引っ張っていけたらと思っています。流れが悪い時などは、みんなを集めて話をするようにしています。また、今はここのポイントから攻めるべき、時間帯によって攻め方は変わってくるなど、新しいポイントガードとなる中で、その辺りは小さなことでも言っていかないといけないなと思っています」

橋本、比江島は、新たなチャレンジを求めて三河を巣立って行った。だが、残留した金丸にとっても、新しい環境に身を置くことは同じだ。「これまでとバスケットが全く違うので、僕の中で環境は変わりました。チャレンジですけど、それも楽しみですね」

2人の抜けた穴が大きいことは間違いない。しかし、一方で三河には、40代にしていまだトップレベルのビッグマンである帰化選手の桜木ジェイアールに、非凡な得点力を備えた外国籍選手たち、日本代表候補の西川貴之、期待の新戦力である生原秀将とタレントが揃っている。そして何よりも金丸晃輔という唯一無二のスコアラーがいる。

金丸が新しい環境に適応して結果を出した時、『変化』は新たな成長をもたらし、チームもまた大きく進化しているはずだ。それと同時に、Bリーグになってからの2シーズンは優勝候補でありながらセミファイナル止まりだった『壁』を打ち破る進化を果たすのかもしれない。