「焦ることなく1試合1試合戦えたのが良かった」
バスケットボール女子日本代表は昨日行われた中国との激戦を制し、アジアカップ5連覇という偉業を達成した。
女子日本代表は東京オリンピックで銀メダルを獲得し、その強さを世界に知らしめた。しかし、今回のチームはオリンピックに出場したメンバーが5選手のみで、若手中心の布陣となったこともあり、その強さは疑問視されていた。それでも、試合を重ねるごとにチームケミストリーが高まり、勝負強さも発揮してアジアの頂点に立った。
キャプテンを務めた林咲希は新たな編成となったことが優勝に繋がったと言う。「オリンピックのことは考えていなくて、新体制で臨んだ大会だったのでプレッシャーもそこまでなかったです。このチームでどれだけ進んでいけるか、どんな結果が残せるかとすごくワクワクした大会でした。オリンピックメンバーとか関係なく、選手一人ひとりの勝ちたい思いが強かったので、その結果がこの優勝に繋がったと思います」
東京オリンピックで結果を出したことにより期待値は高まった。また、アジアでは追われる立場でもある。だからこそ林は「この新しいチームで金メダルを取れたのは本当にうれしいし、オリンピックが終わった後の大会だったので、正直、ホッとしている部分があります」と語った。
また、「決勝に行くまでが一番プレッシャーだった」と明かしたが、「このチームは新しいチームですし、優勝しなきゃいけないという気持ちはそこまでなく、今までやってきたことを全員が出せば結果はついてくると思ったので、焦ることなく1試合1試合戦えたのが良かった」と、新チームだからこその結果であることを強調した。
飽くなき向上心「もっともっとレベルアップしていきたい」
林は東京オリンピックで数々のビッグショットを決めてきたシューターだ。そのため、相手のマークはかなり厳しく、ノーマークでシュートを打てる機会は極めて少なかった。実際に林もそれを認めたが、林の武器はシュートだけではなく、速攻やインテンシティの高いディフェンスなど、様々な部分でチームに貢献していた。林は言う。「3ポイントシュートを打たせてもらえなかったけど、何がなんでも点を決めてやるとか、走って流れを持っていこうと思ってやっていて、自分の中では落ち着いてプレーできました。全員が焦ることなく、優勝する瞬間まで気を引き締めて戦えたのが良かったです」
今後も林には多くのマークが集中することになるだろう。だからこそ林は3ポイントシュート以外のプレーの質を高めたいと語り、勝負どころを見極めることを課題に挙げた。「個人的にはボールに絡む部分と絡まない部分の駆け引きをもうちょっと上手くなりたいです。チームとしてはすごく踏ん張れた大会でしたが、引き離すことが課題になります。チャンスが来た時に全員で引き離して、多くの選手が試合に出れるような環境をもうちょっと作ってあげたい気持ちもありました」
日本はアジアカップ5連覇という最高の結果を残した。それでも、向上心の塊である林はここで立ち止まらない。「新チームで優勝できたけど、リバウンドが最後まで取りきれなかったので徹底してやっていきたいです。個人的にもチーム的にも課題の残る大会だったので、もっともっとレベルアップしていきたい」