終盤にガス欠、チームも敗戦で「コンスタントに、ハードにプレーしたい」
新潟アルビレックスBBは2021-22シーズンの開幕戦で京都ハンナリーズをアオーレ長岡に迎えた。
新潟は平岡富士貴を新たなヘッドコーチに迎えたが、主力の半数が移籍を選択して、今日の先発メンバーで昨シーズンから在籍するのはロスコ・アレンだけとゼロからの再スタートを切ったばかり。それでもシーズン開幕戦から新たなスター選手が誕生した。チーム初のアジア特別枠の選手、24歳のコービー・パラスだ。
京都のピック&ロールからの展開に振り回され、デイヴィッド・サイモンだけでなく日本人選手にも次々と得点を奪われ、第1クォーターだけで31失点を喫して2桁のビハインドを背負う最悪の立ち上がりに。それでも京都に食らい付いたのは、力強いドライブと3ポイントシュートから得点を量産するパラスが前半だけで20得点を挙げ、チームを強烈に引っ張ったからだ。最初の得点はドライブすると見せかけてのプルアップジャンプシュート。続いてはわずかなズレを見逃さずに3人のディフェンスの間を強引に割るドライブからバスケット・カウントをもぎ取り、勢いに乗った。
また、スタッツには残らないが相手ビッグマンの頭上に落ちようとするボールに飛び込み、ティップでリバウンドを渡さないことでもチームに貢献。コート上の誰よりも走り、誰よりもボールに食らい付いていくプレーは大きなインパクトを与えた。
こうして新潟は第2クォーター終盤に逆転に成功するが、それでも飛ばしすぎたパラスがスタミナ切れを起こしてしまう。第3クォーター残り1分でパラスがベンチに下がった時点では65-64と1点リードしていたが、第4クォーター残り6分半で彼がコートに戻った時には71-76と逆転されていた。
その直前のアレンの3ポイントシュートからジェフ・エアーズ、遠藤善も続く3ポイントシュート攻勢で一度は追い付くも、そこから新生チームとしての未熟さが出た。セットプレーを遂行できず、頼みのパラスはコーナーで立っているだけに。3ポイントシュート連発で追い付いたものの、そのイメージを引きずって確率の悪いシュートを打ち続けて得点が止まった。
結局、パラスは25得点4アシストと最高のデビューを飾ったものの、チームは最終スコア81-85で接戦を落とすことに。第4クォーター、勝負のラスト6分半でのパラスはシュート2本を放って成功なしの無得点と不発に終わっている。
試合後のパラスはこう語る。「もう少しハードにプレーすべきでした。それぞれのプレーの締め方をもう少し学ばなければいけない。もっと良い判断、もっと良いパス、もっと良いディフェンスができたと感じています。今日は前半に飛ばして後半に失速した感覚なので、もう少し自分の状態を意識しながら、コンスタントに、ハードにプレーしたいし、チームプレーをしたいです」
ただ、入国後の隔離期間もあってチームに合流したのは1週間前。コンディションはまだ十分ではなく、彼自身も「チームに合流して練習が数回しかできていないこともあって、個人としては早く身体を作ってコンディションを上げていきたい」と言う。
平岡ヘッドコーチは終盤の選手起用について、「あれだけインパクトを与える活躍をして、彼で行こうと思った。長いシーズン、誰かを中心に作っていかなきゃいけない。ガス欠ではあっても彼だと思っていた」と、早くもパラスへ大きな信頼を寄せている。
個人としては突出したスタッツを残したパラスだが、「父の誕生日にプロデビューできたのはうれしいですが、勝てなかったのは残念です」と表情は浮かない。「今日は自分たちの求める結果を出せませんでしたが、ここから明日どうやって勝ちに行くか、チーム全体でどう戦うかを見てほしいです。個人としてこれといってこういうプレーをしよう、というのはあまり考えていません。常にコーチに求められるプレーを遂行したい。強いて言えばエナジーのあるプレーを見てほしいです」
明日は京都との第2戦。ハードに、かつチームプレーを誓うパラスの連日の好パフォーマンスに期待したい。