ベン・シモンズ

トバイアス・ハリス「次の日にベンの家に行き、誤解を解けば良かった」

セブンティシクサーズはシーズン始動に先立ってメディアデーを行った。しかし、そこにベン・シモンズはいない。ジョエル・エンビードとともにチームを背負うはずの彼は、昨シーズンのプレーオフで大不振に陥り、そのパフォーマンスを批判されたことで球団に不信感を持ち、トレードを要求している。トレードが成立しなければチームの活動には参加しないつもりだ。

ヘッドコーチを務めるドック・リバースは「残念だが、これが我々の進まなければいけない道のりだ。必ずベンのことを質問される。我々はそれを受け入れ、対処していかなければいけない」と語り、シモンズを巡るトラブルについて心境を明かした。

「私が現役だった頃は、トレードなんてGMから呼び出されるまで知らないものだった。年俸アップだと思って行くとトレードを告げられるんだ。何の情報もなかった。だが、その方が良かった。今では常にトレードの噂が駆け巡る。選手にとって、自分の名前がそこに出るのは穏やかではない。そんな選手たちを安心させるのも我々の仕事だ。楽しいことじゃないが、それも今ではリーグの一部だと思うしかない」

「私は今も彼を選手として高く評価している。思ったようなプレーをしなかったからと言って、選手としての評価が悪くなるわけじゃない。彼はオールスターであり、もう少しで年間最優秀守備選手になっていた」とリバースは言う。

そしてエンビードも「もちろん、彼には戻って来てほしい。彼はシクサーズの大きなピースだから」と言う。

シモンズが球団に不信感を抱いた決定打は、リバースとエンビードのコメントだと言われている。リバースはシモンズが「このチームのポイントガードであり続けるか分からない」と発言し、エンビードはホークスに敗れたプレーオフの試合のカギとなったのが、フリースローを外したところからの失点だ」と語った。シモンズは昨シーズンのプレーオフを通してフリースロー成功率が34.2%しかなかった。シュートも絶不調で、ゴール下でノーマークになっているにもかかわらずパスを選択するシーンもあった。

エンビードはこの発言について「確かにそう言ったけど、問題のある発言ではないんだ」と説明する。

「誰かが責められなきゃいけないとしたらマティース・サイブルだね。1本決めて1本外したのは彼なんだから。というジョークを僕らは言い合っている(笑)。いずれにせよ、チームとしてもっと良くならなきゃいけなかったのは事実であって、僕は誰かを批判したわけじゃない。それが事実だよ。実際に僕たち全員が成長しなければいけない」

しかし、シモンズにとってはジョークで済まされる状況ではない。トバイアス・ハリスは「コミュニケーションが上手くいっていないことは認めなきゃいけない」と、この問題を深刻にとらえている。「こんな状況になると分かっていたら、次の日にはみんなを集めてベンの家に行き、誤解を解いていた。それで話は済んでいたと思う。誰も彼を戦犯だとは思っていない。あの夜、負けた責任を感じなかった選手は誰もいないよ」

エンビードは「ベンが気持ちを切り替えてくれることを願うよ」と語る。「このチームは僕たちを中心に作ってきた。僕は『このチームは自分のチームだ』とは思っていない。そんなことは気にしていないんだ。彼に戻って来てほしいよ」