レイラ・フェルナンデス

「父はいつも『ナッシュのように戦おう』と言っていました」

スティーブ・ナッシュは若い才能をサポートし、その成長を眺めるのが大好きだ。これはバスケットボールに限らない。

現地10日に行われたテニスの全米オープン準決勝、コートサイドにナッシュの姿があった。彼が応援していたのは19歳の新鋭、レイラ・フェルナンデス。3回戦で前回王者の大坂なおみを破って勢いに乗ったフェルナンデスは、世界2位のアリーナ・サバレンカを接戦の末に破り、4大大会初のファイナル進出を果たした。

2019年夏にプロデビューしてから2年、世界ランキング73位のフェルナンデスは、コートに立つたびに前の自分よりも上手くなっているほどの急成長ぶりを見せている。決勝進出を決めたコートインタビューで彼女は「応援のおかげで勝つことができました」と満員のスタンドへと感謝し、関係者席へと招待したナッシュが自分にとってどんな存在かを説明した。

「彼は大きな刺激を与え続けてくれました。父は私にいつも、スティーブ・ナッシュのように戦おう、ハードワークしようと言っていたんです。その彼がここに来てくれて、応援してくれるのは本当に光栄なことです」

エクアドル出身でカナダ国籍を取得した父、フィリピン系の母を持つフェルナンデスは、モントリオールで生まれ育った。2002年生まれの彼女にとって、物心がついた頃がナッシュの全盛期。カナダ出身のNBAスターとして活躍していたナッシュを、彼女の父がお手本として挙げたのは理解できる。そして全米オープンが行われているのは、ナッシュが率いるネッツの本拠地ニューヨークだ。

ニューヨークの観客たちは、ナッシュの話題に大いに盛り上がり、ナッシュ自身も彼女の言葉をうれしそうに聞いていた。フェルナンデスはそのナッシュに「近いうちにテニスで対戦しましょう」と、チャーミングな笑顔とともに語りかけた。