文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

立ち上がりのディフェンスで大阪が試合の主導権を握る

9月24日、大阪エヴェッサとレバンガ北海道がBリーグ開幕戦で激突した。

立ち上がりから大阪のディフェンスが機能。桶谷大ヘッドコーチは試合後に明かしたディフェンスのプランは「レバンガ北海道はハーフコートの遂行能力が高いチームなので、受け身にならずこちらから相手のプレーを切っていく」というもの。前線から激しいプレッシャーをかけ、特に北海道のポイントガード、多嶋朝飛には徹底マークで自由を与えなかった。

桶谷ヘッドコーチは「Bリーグが開幕して、そこに自分がいることには、試合前から正直泣きそうだった」とのこと。それでも指揮官が感極まる中、選手たちはゲームプランを遂行して試合の主導権を握った。

第1クォーターは13-4と大阪が大きくリード。苦しい状況で北海道を支えたのは現役選手にして運営会社の代表も務める折茂武彦だった。多嶋が厳しいマークに遭う中、折茂は瞬時の動きでチャンスを作り出し、美しいフォームからシュートを次々と沈めてみせる。第1クォーターの4得点はいずれも折茂のジャンプシュート。第2クォーターには2本の3ポイントシュートをいずれも決めて追い上げムードを演出した。

後半に入ると多嶋が長い距離を走ってのドライブインで大阪のマークを振り切るようになり、北海道のオフェンスが乗り始める。第3クォーター残り1分51秒のところで35-39と点差を4まで縮めるが、最後は橋本拓哉に3ポイントシュートを決められ、37-44で最終クォーターへ。

大阪の優位はインサイドにもあった。210cmとサイズに勝るエグゼビア・ギブソンがリバウンドにダンクにとド派手な活躍で北海道のビッグマンを寄せ付けず、ロースコアな展開の中でゲームハイの17得点を記録。208cmのジョシュ・ハレルソンも11得点18リバウンドときっちりと仕事をした。

第4クォーターは多嶋が高い位置でのスティールから走り、バスケット・カウントをもぎ取るなど北海道が見せ場を作ったが、追い付くには至らず。大阪はファウルゲームに持ち込まれた試合終盤に逆に点差を広げ、64-53で勝利。3269人の観客を集めたホーム開幕戦を勝利で飾った。

年齢を感じさせないハツラツとしたプレーと円熟の技術で北海道を支えた折茂。

桶谷ヘッドコーチ「素晴らしいハッスルをしてくれた」

敗れた北海道の水野宏太ヘッドコーチは「1クォーターに消極的なプレーで相手に主導権を握られてしまった」と試合を振り返る。「東京での開幕戦を見て、自分たちの責任を試合にぶつけようという気持ちは見えていた。それが立ち上がりに形にできなかったのは課題。大阪がすごく良いエネルギーを持っていて、そこは相手が上だった。これを教訓に、悔しさを明日の試合にぶつけたい」

桶谷ヘッドコーチは「素晴らしいハッスルをしてくれた」と勝利を引き寄せた選手たちの奮闘を称えた。「派手なプレーよりも泥臭く気持ちの入ったプレーをやってくれた。今日勝ったのはそれぞれが自分の成績ではなくチームのために戦ったから。それと数多くのブースターの皆さんの後押しがあったから。勝つだけじゃなく、幸せな時間を過ごせました。緊張している中で勝利を収められたのは、若いチームにとって良い経験と自信になったと思います」

試合前のプロジェクションマッピングを活用した演出は今までになかったもの。アリーナに集まったバスケットボールファンはまずそこに驚き、そして試合内容にも満足してくれたのではないか。

試合後の会見で桶谷ヘッドコーチは「勝つだけじゃなく面白いバスケットをしなきゃいけない」と、観客を魅了することの大切さを語った。実際、ロースコアのゲームにはなったが、40分間を通じて両チームの選手が気迫のこもったプレーを見せ、激しくぶつかり合った。そして素早い攻守の切り替えが連続するダイナミックな展開は見応え十分だった。

大阪は今日の試合でも「泥臭く、気持ちの入ったプレー」をしてくることだろう。対する北海道は立ち上がりさえ修正すれば、また違った試合展開に持ち込めるはず。第2戦も好勝負を期待したい。

エグゼビア・ギブソンはパワーとサイズの利点を最大限に生かし、勝利の立役者となった。