女子日本代表

取材・写真=小永吉陽子 構成=鈴木健一郎

「私たちに残されているのは速いパッシングと走ること」

アジア競技大会のバスケットボール競技は、昨日が最終日。3位決定戦に駒を進めた女子日本代表は、チャイニーズ・タイペイを逆転で破り銅メダルを獲得した。今大会に参加したのは若手中心のBチームだが、Aチームと変わらず『走るバスケット』を展開。このところ国際大会できっちりと結果を残しているAチームと同じバスケットで、メダルを手にした。

この試合では練習中の捻挫で欠場した竹原レイラを除く全員がプレー。全員がハツラツと全力プレーに徹する姿を、薮内夏美ヘッドコーチはこう表現する。「タイムシェアということでも多くのメンバーをコートに出しましたし、やっぱりバスケットは楽しくて面白いスポーツなので、とにかくバスケットを楽しむ。良い顔をしてコートに立つようにと、毎試合言ってきました」

第2クォーターにチャイニーズ・タイペイの勢いに圧倒された日本代表だが、後半に入って逆転。最後は余裕を持って勝ち切り、メダルをモノにした。「宮崎(早織)を筆頭にブレイクが何本か出たのが良かったです。それが篠崎(澪)だったり中田(珠未)だったりと続いて表現してくれたので。私たちに残されているのは速いパッシングと走ること。とにかく走るしかなかったです」と薮内ヘッドコーチは語る。

Wリーグでは日立ハイテククーガーズを率いる薮内にとっては、ジョーンズカップに続く国際大会での指揮。「私自身も初めての経験ですので、本当にすごくドキドキしましたが、ドキドキとか不安は選手がコートで表現するのを見たら一気に吹っ飛びましたし、この舞台に連れてきてくれた選手に本当に感謝ですし、ここに来るまでいろんなドラマがあったので、それを思うとやってきて良かったなと。私自身も本当勉強することばっかりです」

若い選手にとっても、国際大会で『表現できた』意義は大きいはずだ。このアジア競技大会は国際経験を積む舞台であるだけでなく、A代表入りに向けたアピールの場でもあった。A代表は未経験、あるいは参加できても2番手、3番手だった選手たちも、このアジア競技大会では主役としての働きを求められ、それに応えて結果を出した。

Aチームはタイトルを取ることと世代交代を同時に進めており、中堅が主力へ、若手が戦力へとそれぞれ成長している。それに加えて今回のアジア競技大会組による突き上げがあれば、また新たな刺激をAチームにももたらすはずだ。ワールドカップメンバー12名に割って入るのは簡単ではないが、キャプテンとしてチームを引っ張った篠崎を筆頭に、サプライズ招集の可能性はある。金メダルが欲しかったのは本音だろうが、それとはまた別の価値を見いだせたはずだ。