リッキー・ルビオ

「家族と一緒に選択肢を検討して、次のステップに向かうつもりだ」

東京オリンピックでのスペイン代表はベスト8で敗退。2019年のワールドカップ優勝に続く『世界制覇』は果たせず不本意な結果となったが、早々にアメリカ代表と当たる不運があったのも確かで、チームのパフォーマンスがひどく悪かったわけではない。

司令塔のリッキー・ルビオは今回も突出したパフォーマンスを見せた。日本のバスケファンは、接戦に持ち込んでも要所要所で確実にプレーを決めて20得点を挙げたルビオの活躍を今も忘れてはいないだろう。それでも日本との試合は彼にとってウォーミングアップにすぎなかった。アルゼンチン戦では26得点、アメリカ相手に38得点とすさまじい活躍を見せている。

30歳になった今もなお世界最高のポイントガードの一人であることを示したルビオだが、スペイン代表での活動を終えた今は、晴れやかとは言い難い気分でNBAに戻ることになる。NBAでの彼は評価が上がらず、それがこの10ヵ月間で3度のトレードに繋がっている。

昨年11月にサンズからサンダーにトレードされたルビオは、そのわずか2日後、今度はサンダーから古巣ティンバーウルブズへとトレードされた。そして今オフにはキャバリアーズにトレードされた。問題なのは、彼が求められて移籍するのではなく、他の選手の移籍に組み合わされる形でのトレードが続いていることだ。

スペインの『Marca』のインタビューに応じたルビオは「もう疲れてしまった」と、率直な思いを打ち明けている。

「僕のような選手は、安定したキャリアを求めている。特に今は家族と一緒だから、安定した生活が必要なんだ。NBAで10年やっているから、このリーグのやり方は理解しているけど、少し疲れてしまった。誰だって、新しい環境に慣れるのは苦労するものだ。気持ちの準備も必要になる。やっぱり時間がかかるんだよ」

スペイン代表になると彼が輝くのは、チームバスケットが徹底され、その中心となるからだ。移籍を繰り返す中で、彼がその持ち味を発揮するのは簡単ではない。彼自身のキャリアのことを考えても、司令塔としての能力が評価され、腰を据えてチームを作る環境に身を置くべきだろう。それが十分すぎるほど分かっていながら、そうならないことに失望するのは当然だ。

そのルビオは2021-22シーズン終了後にフリーエージェントになる。この1年で彼は様々な選択肢を検討するだろう。NBAでキャリアを続ける道もあれば、母国スペインに戻るという選択肢もある。ヨーロッパ復帰について「今は考えていない」と答えたルビオは「今シーズンが終わったらフリーエージェントになる。その時になったら考えたい」と続けた。

「これまでのプレーで選手としての価値が決まる。家族と一緒に選択肢を検討して、次のステップに向かうつもりだ」