デイミアン・リラード

新生ブレイザーズの将来性を、自分の目で確かめるシーズンに

デイミアン・リラードの周辺が騒がしい。昨シーズンのプレーオフでは、ファーストラウンドで主力にケガ人を出すナゲッツを相手に敗退。この時、リラードが「ファーストラウンドを突破できないようでは、チャンピオンになるには不十分だ」と発言したことが、騒がしい夏のスタートとなった。リラードが移籍するとなれば、リーグの勢力図を変えるほどのインパクトがある。それだけに、わずかでも可能性があるのであれば優勝を狙うチームはその動向をチェックする。

テリー・ストッツからチャウンシー・ビラップスへのヘッドコーチ交代のやり方が問題視され、その批判がリラードに飛び火したことで彼とファンとの関係が悪化したとも言われた。東京オリンピックでのプレーに集中することで移籍問題に無視を決め込んでいたリラードだが、トレードを要求したと一部メディアで報じられた時には、アメリカ代表のトレーニングキャンプでありながら「あれは僕の発言はない」と否定するとともに、「僕は将来について確固たる決定をしていない」とも語っている。そして彼は、「確固たる決定をしていない」ままで良いと考えているようだ。

『The Athletic』の取材に応じたリラードは、移籍にまつわる噂についての自分のスタンスをこう語っている。

「自分を守る発言をするのか、黙って静観するのか。僕の場合、事実じゃないことがあれば『そんなことは言っていない』と言うつもりだ。だけど、いくつかのことは言わせておくしかない。真実が何なのか、自分には分かっている。自分の立ち位置も分かっている。その一つひとつが何であるかを世間に説明するのは、僕の義務じゃない」

そして今週、リラードはInstagramでライブ配信を行い、ファンとコミュニケーションを取った。移籍についての質問も出たが、彼はシンプルに「ポートランドを離れることはない。少なくとも今はね」と答えている。

トレード要求をしたとの報道は明確に否定した。ただ、彼自身の気持ちを問われると「少なくとも今はね」というのが答えだ。ビラップス新体制となったブレイザーズの将来がどれほどのものか、彼は自分の目で確かめるつもりなのだろう。

「これまでずっとプレーオフに進出してきたし、良いチームだとは思う。でも、悪いチームじゃないからこそ『もう十分にやったのか?』と問わなければいけない」とリラードはブレイザーズについて語る。

NBAで10回目の開幕をリラードはブレイザーズの一員として迎える。だが、来シーズンもそうなるかは決まっていないし、トレードデッドラインには決断が下されるかもしれない。「もう十分にやったのか?」という問いは、ブレイザーズという組織全体に向けられている。