デイビオン・フォックス

ドノバン・ミッチェルの弟と間違われるほどのドライブの推進力

豊作といわれるドラフトが終わり、ルーキーたちは早速サマーリーグで実力を披露する機会を与えられています。全体1位指名のケイド・カニングハムと2位指名のジェイレン・グリーンの直接対決ではお互いが20得点オーバーと未来のスーパースター候補として一歩も譲らないバトルを繰り広げるなど、上位指名選手が次々に結果を残し、早くも新シーズン開幕が楽しみになっています。

その中でもキングスに1巡目9位で指名されたデイビオン・ミッチェルは傑出したパフォーマンスで、高い完成度とリーダーシップでチームを牽引しており、現段階でシーズンが開幕しても十分に通用すると思わせるほどのプレーを見せています。ワン&ダンの選手が多い上位指名の中では珍しく、4年間大学に通った22歳のミッチェルは、ベイラー大を初めてのNCAAチャンピオンに導いており、他のルーキーよりも判断力に優れ、ゲームメークの安定感では抜きんでています。

ジャズのエースとなったドノバン・ミッチェルとは名前だけでなく体格やプレーも似ており、185cmと小柄ながら重戦車のようなドライブの推進力と、落ち着き払ったコントロールから放つ弾丸のようなパスは、既にオールスター選手のような風格を放っています。一部では兄弟と間違えられていたというエピソードも無理はありません。欠点とされていたドライブ時のフィニッシュ能力も、少なくともサマーリーグのレベルでは問題になっていません。

デイビオン最大の武器であるハードなディフェンスは、現時点でNBAのスター選手をも困らせるレベルです。フットワークの良さだけでなくフィジカルも強く、マンマークの強さは一級品。また一瞬でトップギアに上がるクイックネスやハンドチェックの上手さでスティール能力もあります。プレッシャーで追い込んでいきながら、むやみに手を出さずにギリギリまで見極める冷静さもあり、ドリュー・ホリデーのような驚異的なディフェンダーになる可能性を秘めています。

2006年を最後にプレーオフに進めていないキングスは、ディフェンス力に課題のあるチームだけに、サマーリーグとはいえポイントガードとしてチームを引っ張り、即座に結果を出しているデイビオンに大きな期待を寄せているでしょう。一方でキングスにはすでにディアロン・フォックスとタイリース・ハリバートンがおり、デイビオンをどのような形で生かすのかが問題となります。

『ポイントセンター』が一般化した中で、複数のプレーメーカーを並べるのは現代のトレンドですが、『ポイントガードを並べる』チームはほとんどありません。フォックス、ハリバートン、そしてミッチェルは全員がボールを長く持ってオフェンスを構築するタイプで、キングスがどのような形を想定しているのか、現時点では見えてきません。平均25.2得点、7.2アシストを記録したフォックスをエースに据えるのであれば、ミッチェルはシックスマンとして繋ぎの役割を与えられる可能性もあります。

複数のポイントガードを並べた新たな戦術で旋風を巻き起こすのか、それとも機能不全に陥ってしまうのか。サマーリーグでのデイビオンの素晴らしいプレーを堪能するほどに、シーズンでの役割に疑問が浮かびます。キングスには複数のトレードの噂があり、編成を大きく変える可能性もありますが、いずれにしてもルーキーのデイビオンはキングス躍進のキーマンになりそうです。