馬場雄大

アルゼンチン戦ではチームハイの18得点を記録

バスケットボール男子日本代表が45年ぶりに出場したオリンピックは、3戦全敗の予選リーグ敗退で幕を閉じた。

2年前のワールドカップも5戦全敗で終わっており、またしても世界を相手に1勝を挙げることはできなかった。しかし、格上の相手に終盤まで食らいつく東京オリンピックでの日本代表は、2年前とは全く異なるものがあった。

それはやっている選手自身も感じており、予選リーグ最後のアルゼンチン戦を終えた直後の会見で、馬場雄大は「本当に今、日本のバスケは少しずつ力をつけてきています」と振り返った。

それでも、結果がモノを言うスポーツの世界だからこそ「本当にそれを証明したかったですが、まだまだ自分たちの力が足りていない。それでも、これで終わりではないですし、本当に次に繋がる意味ですごく大きな試合でした」と続けた。

この東京オリンピックでは結果こそ残せなかったが、世界での経験が乏しい日本代表にとって、あらためて自分たちの実力、そして成長を感じることができたのは、馬場が言うように次に繋がる大会となった。 「日本代表自体が世界トップレベルのチームとの対戦経験がまだまだ少ないですし、そういった部分では本当に自分たち実力でどこまでやれるのかを試せる試合でした」 と馬場は言う。

馬場雄大

「誰かのステップアップが必要だと分かっていて、その役割は自分だと確信していた」

馬場個人で言うと、アルゼンチン戦ではチームハイの18得点と7リバウンド3アシスト1スティールを記録し、ようやく彼らしいパフォーマンスを発揮した。

というのも、これまでの2戦でもスティールからの速攻など、馬場の持ち味を生かしたアグレッシブでスピードあるプレーは出ていたものの単発に終わり、チームに勢いを与えることも彼自身が流れに乗ることもできずにいた。

馬場は「この2試合は本当にチームに迷惑をかけ続けてきた」としつつも、アルゼンチン戦で吹っ切ることができた理由を語った。

「(八村)塁に対するディフェンスが激しくなることは試合前から分かっていましたし、塁だけでは試合に勝てないことも分かっていました。なので、必ず誰かのステップアップが必要だとも分かっていて、その役割は自分だと確信していました。この2試合は本当にチームに迷惑をかけ続けてきたので、最後は本当にチームに貢献できたらという思いで必死になっていました」

もちろん、『悲願の1勝』を達成することができなかったのだから、悔しくないはずはない。それでも、馬場の声からはどこかスッキリとしたような雰囲気もあり、それは次に繋がる何かを得たからだろう。東京オリンピックはこれで終了となったが、まだ25歳の馬場の挑戦はこれからも続く。

次に日本代表に戻ってくる時はどんな選手になりたいか? と問われた馬場は、「ただチームの勝利に貢献できる選手になりたいです」と答えた。「日本代表としてプレーする年数はまだまだあるとは思いますが、やっぱり勝たせることに意味があると思います。次はワールドカップ、そしてパリオリンピックに向けて進むわけですけど、大事な大会の中でチームを勝たせられる選手になることが一つのステップアップです。それを叶えることができたらNBA選手になることにも近づけるし達成できると思うので、そこを一番にフォーカスしてやっていきたい」