スペンサー・ディンウィディー

首脳陣は慎重「彼に無理はさせたくない」

ネッツのスペンサー・ディンウィディーは、シーズン開幕から間もない昨年末に右膝前十字靭帯の部分断裂で戦線離脱となった。それでもリハビリは順調に進んでおり、4月の時点で彼は「プレーオフの雰囲気の中に自分がいることを想像しながら、毎日のリハビリに励んでいる」と語っている。

リハビリのためにロサンゼルスに滞在しているディンウィディのコメントを聞いた指揮官スティーブ・ナッシュは「キャリアの先のことを考えた場合、彼に無理はさせたくない」と語り、ショーン・マークスGMも「彼は自分を証明したいのだろう。復帰に強い気持ちを持つのは理解できるし、私が『無理だ』と言うことはできない」と言いながらも「彼に賭けようとは思わない」と無理を諫めた。

ディンウィディの回復が間に合ったとしても、プレーできるのは7月8日からのNBAファイナルから。コンディションと試合勘の問題も大きいが、彼がプレーしていた頃のメンバーはほとんどがジェームズ・ハーデンとのトレードでいなくなり、ケミストリーもほぼゼロでのぶっつけ本番となる。現実的に考えれば、ネッツは今のメンバーでの戦い方を成熟させつつ、ハムストリング痛で離脱しているハーデンの回復を待つことになるだろう。

それでも、ディンウィディの関係者は近いうちに彼がブルックリンに戻り、チームに合流する意向だと明かしている。在籍5シーズン目で迎えた優勝のチャンスに、少しでも貢献したいと考えるのは当然だろう。

またディンウィディは来シーズンが契約最終年で、これを破棄すれば今オフにフリーエージェントとなる。膝の問題さえ解消できていれば、彼の市場価値は最終年の1200万ドル(約13億円)よりずっと高い。それが今シーズンのうちに短い時間でもコートに立ちたいという彼の思いを後押ししているのかもしれない。

ただし、無理をしてケガを再発させることになれば、キャリアの大きな損失となる。またネッツにとってもディンウィディは貴重な存在だ。昨シーズンに平均20.6得点を記録した元エースは今後も『ビッグ3』に続く戦力になるし、契約延長した上でトレード資産として活用することも考えられる。

いずれにしても、不運なケガから順調に回復しているのはポジティブな出来事だ。ネッツがNBAファイナルに進出した時、プレーするかどうかは別として、ベンチにディンウィディーがいれば、チームの士気はまた高まるに違いない。。