藤井祐眞

レギュラーシーズンの最後、東地区の強豪相手に7連勝と上り調子でチャンピオンシップを迎える川崎ブレイブサンダース。ニック・ファジーカスと200cmを超える外国籍2人が同時にコートに立つビッグラインナップの破壊力が目立つが、チームの根幹はタフで激しいディフェンスにある。その要が圧倒的な運動量と球際の強さを見せる藤井祐眞だ。タレント集団の川崎にあっても、替えの利かないキーマンとなった藤井に、大一番への意気込みを聞いた。

「リーグ優勝を目指してやってきて、いよいよ始まるという感覚です」

──まずは、レギュラーシーズンを終えての心境を聞かせてください。

リーグ優勝を目指してやってきて、いよいよ始まるという感覚です。ただ、クォーターファイナルは大阪でのゲームですが、今シーズンに入ってからはやったことのない無観客試合に対するやりづらさはあると思います。あらためてホームで戦いたかったです。

──先週は試合がなく、久しぶりのバイウイークとなりました。どのように過ごしていました。

練習のない日はずっと自宅でのんびりしていて、身体を普通に休めることはできました。ただ、千葉vs秋田、大阪vs三河と他チームの結果が気になって、ずっと試合を見ていました。千葉さんの結果次第で自分たちが2位に上がる可能性も残っていたので、千葉さんの試合は祈るように見ていました(笑)。

──競馬が趣味の藤井選手は、試合がなかった先週はリフレッシュも兼ねてやりましたか。今は『ウマ娘』が記録的な大ヒット中ですが、遊んでいますか。

今年はG1でなかなか馬券を的中させられなかったですが、先週ようやく当てることができてホッとしています。『ウマ娘』は走るのが女の子で実際の馬ではないところが、と思いつつも気になっています。楽しそうだとも感じているので、シーズンが終わったらちょっとやってみようかなと思っています。もしかしたら、ハマるかもしれない(笑)。

──レギュラーシーズンの最後は連勝で締めくくりました。今のチーム状況にどんな感触を持っていますか。

終盤戦、最後の東地区上位との対戦でしっかり勝ち切れたのは、チームとしても自信になり良い形でチャンピオンシップを迎えられます。ケガ人もいて苦しい時期、勝ち切れなくて上手くいかない時期もありましたが、僕たちがずっと武器にしようとしてきたビッグラインナップにノーマルラインナップと、それぞれの強みがコミュニケーションをしっかり取ることで生かせるようになったと感じています。

それが一番成長した部分で、今の良い状態に繋がっている。シーズンを通していろいろあって大変でしたけど、練習と試合を重ね、レギュラーシーズンを通してようやく形になってきました。

──上手くいっていなかった時期は、順位もチャンピオンシップ圏外になることもありました。焦りなどはありましたか。

もどかしい気持ちはありました。そこでマット(ボンズ)とセッド(セドリック・シモンズ)が加入し、チームを助けてくれたことに感謝しています。本来であれば、最初からチームにいた選手たちでやらないといけないですが、マットはハッスルプレーでチームにエナジーを注入してくれました。彼らのおかげもあって状態が上がってきて、そこにケガ人も戻ってきて目指す方向を再確認できてからは良くなったと思います。

藤井祐眞

「考えすぎずにシンプルにプレーする、その自分らしさを取り戻せた」

──藤井選手個人のパフォーマンスについての自己評価をお願いします。

シーズン序盤から年明けくらいまでは調子があまり良くなかったです。特に11月後半のバイウイークまでは、納得するプレーができずに悩んだ時期もありました。自分がどうプレーしたらチームがより上手くいくのか、そう考えているうちに自分の良さを出せなくなっていました。

そこから徐々に、思いっきりやることが自分のプレーだと思い出し、ニック(ファジーカス)の言葉などが自信に繋がりました。考えすぎずにシンプルにプレーする、その自分らしさを取り戻せたのは良かったです。個人的にもシーズン途中から、チームと同じく調子が上がってきています。

──佐藤賢次ヘッドコーチは就任当初から「チーム全員がリーダーシップを持たないといけない」と話しています。藤井選手もこの部分について、意識の変化はありますか。

昨シーズンは副キャプテンもやっていましたし、リーダーシップへの自覚は多少なりともあります。そこは去年から変化してきて良かったと思います。ただ、僕はどちらかと言うと口が達者ではないので、プレーで周りを引っ張っていきたいと思っています。

──試合前のウォーミングアップで(パブロ)アギラール選手、(ジョーダン)ヒース選手と一緒に行動するなど、今シーズンは外国籍選手とよりコミュニケーションを取っている印象があります。そこはリーダーシップの部分と関係ありますか。

自分から話しかけようとか特に意識したことはないです。僕は流れに身を任せるタイプで、本当に気が合うので自然と一緒に行動しています。パブロとホームゲームで一緒にダッシュしているのは、きっかけは忘れましたけど気付いたらルーティン化していました。J(ヒース)とも、いろいろと一緒にやっていますね。

確かに言われると、今まで外国籍選手とルーティンで何かを一緒にやったことはなかったです。コート外でもクラブハウスで食事する時、2人から「今日のメニューは何?」と聞かれて、僕が見に行って教えてあげたりする。一緒のタイミングで食べることも多いですし、とにかく仲は良いですね(笑)。

藤井祐眞

無観客での試合も「僕らに絶対届きますので、応援をお願いします」

──昨シーズンは打ち切りとなり、今回は2年ぶりのチャンピオンシップとなります。振り返れば前回はクォーターファイナルで宇都宮ブレックスに2戦続けて大敗と辛い結末でした。あらためてチャンピオンシップへの意気込みを教えてください。

2年前と今は全く別のチームですし、記憶にないくらいです。久々のチャンピオンシップを楽しみたいです。個人としてはあの頃よりも責任感、自覚を持ってプレーできていると思っています。

チャンピオンシップは勢い、流れが本当に大切になってくるので、それを持ってくる、チームに勢いを与えるプレーをしたい。相手に流れがいくことも絶対ありますが、そこで今のチームはディフェンスで我慢できるチームになってきています。そこを僕も見せたいです。

また、大阪戦はファンの皆さんが会場に来られないので、ハッスルプレーに対していつもはファンの皆さんが拍手して盛り上げてくれるんですけど、そのサポートがありません。そこはいつも以上にチームで盛り上げないといけない。ベンチからコートから一人ひとりがよりチームを鼓舞して、ムードを高めていきたいです。

──藤井選手として、これだけは最後まで貫きたいと特に意識している部分を教えてください。

どんな状況、どんな展開になっても絶対にあきらめないことです。そこはチームのためになりますし、負けず嫌いの性格なので貫き通したいです。

──それでは最後に、優勝を期待するファンへのメッセージをお願いします。

クォーターファイナルは無観客の開催ですが、画面越しの声援を待っています。僕らに絶対届きますので、応援をお願いします。大阪に勝って、SR渋谷が宇都宮に勝つとセミファイナルがホーム開催になるので、次週のとどろきアリーナでの試合に向けてもあきらめずに応援をしていただきたいです。まずは2勝して川崎に帰ってきます!

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