ニックスを再生させ、プレーオフへと導こうとする指揮官トム・シボドーの哲学「外からどう評価されていようが私には関係ない」

ニックスを再生させ、プレーオフへと導こうとする指揮官トム・シボドーの哲学「外からどう評価されていようが私には関係ない」

2021/05/04 07:30
ニックス

「今は良いように見えるが、脇道にそれるのは簡単だ」

東カンファレンスはシクサーズ、ネッツ、バックスの『3強』に続く第2グループが大混戦となっているが、ニックスが一歩抜け出した。36勝28敗で、ホークスとヒートに1.5ゲーム差、セルティックスには2.5ゲーム差を付けている。まだまだ予断を許さないが、この3週間で11勝1敗と勝ちまくっている勢いをもってすれば、4位をキープしたまま残り8試合を終えられそうに思える。

ニックスはレブロン・ジェームズを獲得したわけでもヤニス・アデトクンボを獲得したわけでもない。フリーエージェントで迎え入れて2シーズン目のジュリアス・ランドルを軸に、RJ・バレット、イマニュエル・クイックリー、オビ・トッピンとドラフトで指名した若手の成長でチーム力を上乗せした。

開幕前の時点ではクリス・ポール、フレッド・バンブリート、ラッセル・ウェストブルックの獲得が噂され、いくつかは実際に交渉に乗り出していたようだが、すべて破談に終わった。トム・シボドー体制の船出は前途洋々ではなかった。

それでも彼は既存の選手たちを競争させた。彼は主力と見極めた選手を長時間使い続けることで知られるヘッドコーチだが、「誰にもプレータイムは与えない」と断言した。「一人ひとりが自分のプレータイムを獲得しなければならない。ローテーションは各自のパフォーマンスと、チームを勝たせるチャンスをいかに提供できるかで決まる。選手にはプレータイム獲得を目標にしてはいけない、と言うつもりだ。チームを第一に考え、試合にどれだけ良い影響を与えられるかを見るつもりだ」

勝利と評価に飢えていた若い選手たちは、シボドーの哲学の下ですべてのことから学び、急成長している。彼らの強さのベースとなるのはハードワークだ。プレーオフを戦うのに経験不足は否めないが、一つひとつのプレーで全力を尽くす姿勢がそこにはある。

5月2日、ロケッツはニックスに97-122で完敗を喫した。これで16勝49敗とリーグ最下位で、リーダーのジョン・ウォールを筆頭にケガ人も多いロケッツでは歯が立たなかった。ロケッツの指揮官スティーブン・サイラスは「若いチームにありがちだが、戦う気力を折られてしまった」と選手たちが気持ちの部分で相手に劣ったことを悔やむと同時に、ニックスを「ガッツがあり汗をかくチーム」と称賛した。

サイラスはニューヨーク育ちで、10代後半の頃には父親がニックスのヘッドコーチだったステュ・ジャクソンやパット・ライリーの下で働いていた縁でニックスのボールボーイをやっていたそうだ。サイラスがあの頃に見ていたニックスは、パトリック・ユーイングを中心に泥臭く汗をかいてフィジカルに戦うチームだった。マイケル・ジョーダン全盛期のブルズには勝てなかったが、時代を象徴する強豪である。サイラスは「今のニックスを見ていると、あの頃のチームを思い出す」と言う。

今シーズンのニックスは、勝ちたい気持ちが強くてもどうすればいいか分からなかった選手たちに、シボドーの哲学が示されたことで飛躍した。4位でレギュラーシーズンを終えて、マディソン・スクエア・ガーデンでプレーオフ1回戦を行うことができれば大きな成功だ。しかし、徹底した現実主義者のシボドーは気を緩めず、「シーズン開幕前も今も、私の考えは変わらない。『どうすればチームが良くなるのか』、『どうすれば勝てるのか』だけだよ」と語った。

「外からどう評価されていようが私には関係ない。我々自身がどう受け止めるかだ。私は選手たちに正しい習慣を身に着けさせるところから始めた。今は良いように見えるが、脇道にそれるのは簡単だ。勝利のためには準備が大事だし、選手たちがそれを本当の意味で理解し、実行することが大事なんだ。毎日正しい行いをして、お互いのためにプレーすれば、必ず良い結果が出るものさ」

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