篠山竜青

「僕と祐眞、ハセでしっかりそこに負けないようにと入りました」

川崎ブレイブサンダースがサンロッカーズ渋谷と対戦。20点差をつけて圧勝した前日に続き、今日もオフェンス爆発によって序盤からリードを奪い、110-88の勝利で見事にレギュラーシーズン最終戦を締めくくった。

第1クォーター序盤、SR渋谷はオフェンスファウル2つを誘発するなど、昨日よりもボールプレッシャーを激しくする。10-10と互角のスタートとなるが、ここから川崎はビッグラインナップを投入すると、ニック・ファジーカス、パブロ・アギラールの連続3ポイントシュート成功で抜け出す。SR渋谷はジェームズ・マイケル・マカドゥのバスケット・カウントなどゴール下の得点で応戦。しかし、川崎は辻直人の連続3ポイントシュートなどこのクォーターで9本中7本成功と長距離砲が火を吹くことで30-20と先行した。

第2クォーターに一度はSR渋谷に流れが傾くも、川崎は藤井祐眞、マティアス・カルファニが走る展開からフリースローを獲得して立て直す。さらにこのクォーターで9得点を挙げたアギラールの長距離砲、篠山竜青のスティールからヒースのダンクと、相手がディフェンスの準備を整える前の素早い攻めで再びリードを2桁に戻して前半を終えた。

大事な後半の立ち上がり、川崎は本日29得点を挙げたファジーカスが得意のフェイダウェイシュートを連続で決めて流れをキープ。そして、積極的なインサイドアタックからの大きいボールムーブで、守備のズレを作ってイージーシュートを次々と生み出す。その結果、このクォーターで3ポイントシュート5本中4本成功、フィールドゴール全体で16本中12本中成功、アシスト8本とほぼ完璧なオフェンスを披露。第4クォーター開始時点で28点の大量リードを奪う快勝だった。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、「とにかく積極的に仕掛ける。足を動かして走り続け、リバウンドまで取るウチのディフェンスを40分間の中でやれる時間が長かった」と2試合連続100得点以上を挙げた中でもまずは守備を勝因に挙げ、次のように締めくくった。

「オフェンスでもメンタルが落ちることなくアタックし続けることができ、昨日に引き続き良い試合ができました。この勢いで、チャンピオンシップに向けてどこが相手でも自分たちの強みを発揮していける準備をしたいと思います」

篠山竜青

「どんな時でも自分たちにフォーカスしてやれる我慢強さがついてきました」

キャプテンの篠山は、スタメンがビッグラインナップではなく通常のラインナップと、昨日とは違う布陣でスタートした中でも、昨日と同じ質の高い戦いぶりを見せたことに大きな手応えを得ている。

「渋谷さんが昨日以上のエナジーを出して入ってくるのは予想できていました。僕と祐眞(藤井)、ハセ(長谷川技)でしっかりそこに負けないようにと入りました。リードを奪うところまでは行かないまでも、こちらも激しく行くことができた。そこからうまくビッグラインナップに繋げてゲームをコントロールできた。通常からビッグへとスムーズにスイッチできて、レギュラーシーズン最後の締めくくりとしては非常に内容のある良いゲームができました」

これで川崎はレギュラーシーズンを7連勝で終了。その中身も千葉ジェッツ、宇都宮ブレックス、SR渋谷とチャンピオンシップ出場チームからそれぞれ2勝と内容もバッチリだ。篠山はこう語る。「東の上位との連戦で一つずつ勝っていく中、選手一人ひとりも判断への自信が増し、アタックするメンタリティを成長させることができました。小さい成功体験を積み重ねることで、どんな時でも自分たちにフォーカスしてやれる我慢強さがついてきました」

「そして今回はリーグで1、2を争う渋谷さんの激しいディフェンスに対し、受け身になるではなく縦に切っていくことができました。またさらに自信に繋がります」

この成長をもたらした要因として、「良い意味で衝突は増えました」と、篠山、辻、ファジーカスとチーム在籍年数の長い選手たちの発言が目立っていたかつての状況から、より活発な議論が繰り広げられていると語る。

振り返れば昨シーズン開幕前、佐藤ヘッドコーチに取材した時、「リーダーは組織としての役割として必要だけど、それに関係なく全員がリーダーシップを持っていないとチームはうまくいかないです」と語っていた。

この状況が今の川崎はできている。「賢次さんは『軋轢を恐れずにチームが勝つために言いたいことを言いなさい』とよく言っています。選手みんながリーダーシップを持って言いたいことを言い合える雰囲気ができています」と篠山は自信を見せる。

今の川崎はビッグラインナップという戦術だけでなく、まさに『心技体が』充実した状態でチャンピオンシップを迎える。