リック・ウェルツ

「バスケットボールは私にとってまさに喜びを意味する」

ウォリアーズの球団社長兼COOを務めるリック・ウェルツが、今シーズン限りで退任することを明らかにした。ウォリアーズにはアドバイザーの立場で残るものの、後任の社長を指名して球団運営の表舞台からは退くことになる。

これが大きな話題になるのは、NBAの歴史に一時代を築いたウォリアーズを導いただけでなく、彼自身がNBAの長い歴史の中で様々な貢献をしてきたからだ。68歳のウェルツはシアトル出身で、高校生の時に地元のスーパーソニックスでボールボーイを務めたところからNBAの世界に足を踏み入れた。大学生の時は球団のアルバイトをして、そのまま球団職員として10年間働き、その後はスポーツマーケティングの経験を重ねてきた。NBAのビジネス規模を大きくすることに尽力し、『ドリームチーム』と呼ばれたアメリカ代表のために働いた。2002年からサンズの、2011年からウォリアーズの球団社長兼COOを務めて現在に至る。

『The Undefeated』の取材に応じたウェルツは退任について、次のように語っている。「以前から引退について考えていたが、その時は新型コロナウイルスのパンデミックは考慮していなかった。その混乱の最中で辞めることは、私にとっても球団にとっても良いことではない。でも今は正常な状態に戻る道筋ができた。自分にできることはしたつもりで、それを引き継ぐ時が来たと思っている」

ウォリアーズでヘッドコーチを務めるスティーブ・カーは、現役引退後にウェルツに誘われる形でサンズのGMを務めていた。「今のウォリアーズのブランドは彼が築いたもの。10年前は全く違うものだったからね。彼の素晴らしい仕事ぶりに感謝したい。おそらく彼はこれからもまだ素晴らしい仕事をするだろうが、ウォリアーズを離れてしまうのは寂しいよ」と語る。

卓越したマーケティングの手腕を発揮してNBAを盛り上げてきたウェルツは、引退後はパートナーと過ごし、仕事ではなく大好きなスポーツとしてNBAを観戦したいという。「バスケットボールは私にとってまさに喜びを意味する」との言葉を残して、彼は第一線を退く。