「やらなきゃって気持ちが強くあります」
梅嵜英毅ヘッドコーチは「今日は出だしが悪すぎて、こちらからいろいろ仕掛けるつもりが仕掛ける間がないぐらい、リバウンドを取られて走られる展開が続きました」と出だしのつまづきを振り返る。ENEOSサンフラワーズにとって、トヨタ自動車アンテロープスと戦うWリーグのファイナルの初戦は、0-21という大量ビハインドから追いかける展開になってしまった。
トヨタ自動車のインサイドには河村美幸と長岡萌映子がいて、さらにスモールフォワードの馬瓜エブリンが鋭い出足と跳躍力を生かして飛び込んで来る。このリバウンド力に対抗するには宮澤夕貴の投入しかなかった。宮澤は右肩に故障を抱えてコンディションが万全ではない。仰々しいテーピング、その実力と実績にもかかわらずベンチスタートが続いていることからも、状態は決して良くはないのだろう。だが、0-17とリードされた第1クォーター残り4分に投入された宮澤は、そのまま最後までコートに立ち続けた。
宮澤の投入からほどなくしてチームは立ち直り、反撃を開始した。1ポゼッション差、1点差に迫ることは何度もあったが、引っくり返すことはできず最終スコア66-71で初戦を落としている。ベンチから見ていた立ち上がりの悪さについて、宮澤は試合後にこう振り返る。「油断は全くなかったのですが、ああいう展開になった時に個々が孤立してしまい、チームとしてどう攻めるかがENEOSらしくなくて、一人ひとりが戦う展開になってしまった。もう少しボールを回して全員がゴールに向かう姿勢を取れば、またディフェンスでもっと我慢できれば、ああいう展開にはならなかったと思います」
その上で、「明日はスタートかどうかまだ分かりませんが、ベンチからでもスタートとして出てもしっかりやりたい」と語る。
宮澤は岡本彩也花と並んでチームトップの16得点、リバウンドでは中村優花の11に次ぐ9本を記録している。今日の第2戦でも、先発かどうかは別にして得点でもリバウンドでも宮澤の奮起なくして、トヨタ自動車の勢いを止めるのは難しいだろう。特にリバウンドを取れなければ、『走るバスケ』という自分たちの展開に持っていけない。昨日の試合ではトヨタ自動車にリバウンドから走るバスケを展開されたが、ENEOSからすればお株を奪われた形。宮澤は「自分が今できる100%のことを試合に出たらやろうと思っています」と話す。
「そういう部分でも最後の大事な場面でディフェンスリバウンドを取れなかったり、オフェンスでもちょっと一方的に攻めてしまった部分があったので、そこはもう少し冷静になって、どこが攻めどころなのかをもう一回試合を見て振り返りながらしっかりと判断して明日は望みたいと思います」
トヨタ自動車のヘッドコーチ、ルーカス・モンデーロは「宮澤選手がデンソー戦では15分ぐらいのプレータイムだったのに、今日は33分使ってきたことに驚いている。明日は宮澤に潰されないようにプランを練りたい」と宮澤への警戒心を隠そうとしなかった。
今日の第2戦では宮澤がどれだけ活躍するか、宮澤をどう抑えるかがカギになる。その宮澤は「トヨタさんは1勝して、リラックスして試合に入ると思います。自分たちは向かっていく気持ちで、自分たちのバスケを40分間やる気持ちでコートに立ちたい」と語る。
「いつもより、やらなきゃって気持ちが強くあります」と闘志を見せる宮澤のプレーに注目したい。
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