ブレイク・グリフィン

ケガに苦しめられるスター選手「衰えているとは思わない」

ブレイク・グリフィンがピストンズでプレーする姿はもう見られないかもしれない。『ESPN』の取材に対し、ピストンズのトロイ・ウィーバーGMは「グリフィンとの代理人と話し合い、お互いの利益を最大化するために彼の今後について動くことにした。彼がピストンズのためにやってきた努力を尊重して、関係者全員がポジティブな結果を得られるよう努力する」と語っている。それと同時に、この問題が解決するまでグリフィンはチームから離れることが明かされた。

グリフィンは2009年のNBAドラフト全体1位でクリッパーズに指名され、クリス・ポールやディアンドレ・ジョーダンとともに強力なチームを形成。2017年オフにポールがトレードされて『ロブ・シティ』は解体されるのだが、この時にグリフィンは契約最終年を破棄してクリッパーズと新たにスーパーマックス契約を結んでおり、新たなクリッパーズでも中心であり続けるはずだった。ところが半年もたたないうちに、グリフィンはピストンズへとトレードされる。スーパーマックス契約の合意から数カ月、『チームの顔』であるはずのグリフィンは、フロントの誰からも相談されず、Twitterのニュースを見て自身のトレードを知った。

ピストンズでのグリフィンは度重なるケガに苦しめられ、本来の力を発揮できていない。昨シーズンまでの3年間でプレーオフ進出は一度だけ。その2018-19シーズンのプレーオフも、バックスとの1回戦を2試合終えたところでグリフィンは膝の痛みにより戦線離脱。チームはスウィープでの敗退を喫している。

繰り返されるケガにも屈せずトレーニングに打ち込む彼の姿勢を、指揮官のドウェイン・ケイシーは一貫して評価している。かつては身体能力にモノを言わせたプレースタイルだったが、3ポイントシュートを打つようになったり、ドライブからのフィニッシュのバリエーションを増やしたりと、来月に32歳となる今も成長は止まっていない。昨年のオフ、トレーニングに励む彼は「手術後の経過は良好で、膝の状態は悪くない。自分が衰えているとは思わないし、この契約が最後になるとも思わない」と語っていた。

ただし、ネックとなるのが彼の年俸だ。今シーズンの年俸は3680万ドル(約38億円)で、NBAで8番目の高給取り。来シーズンは契約最終年で、プレーヤーオプションながら3890万ドル(約41億円)となる。いくらグリフィンが「衰えていない」と主張したところで、すでにエースとしてプレーできなくなっており、さらには膝に爆弾を抱えたベテランをこの年俸で迎え入れるチームは出てこないはず。その場合はバイアウトをすることになるだろう。

超大型契約がなくなり、今の実力と市場に合わせた『適正価格』が設定されるのであれば、数週間前までピストンズでプレーしたデリック・ローズがそうであったように、グリフィンを欲しいチームは少なくないはずだ。

トレード期限は3月25日。再建が軌道に乗ったホークスやホーネッツをさらに上向かせるために、開幕から調子の上がらないヒートやセルティックス、ウィザーズのテコ入れに、ニックスで再びローズとともにプレーするかもしれないし、彼自身が優勝にこだわってのクリッパーズ復帰、あるいはライバルのレイカーズへの合流もあり得る。故郷のオクラホマシティに戻ることも選択肢の一つになりそうだ。グリフィン自身が、復活のために最もモチベーションを得られる環境を選ぶことになるのだろう。NBAで11年のキャリアを誇るスター選手が、ここでもう一花を咲かせられるか。ピストンズと彼の決断に注目したい。