デション・トーマス

マクヘンリーを軸とする信州、ファウルトラブルでプランが崩れる

ここまで19勝13敗、思わぬ苦戦が続くアルバルク東京はホームのアリーナ立川立飛に信州ブレイブウォリアーズを迎えた。

B1を連覇したA東京と、昇格組の信州では力に差があるかと思いきや、序盤からペースを握ったのは信州だった。大ベテランのアンソニー・マクヘンリーを軸に攻守に隙のないバスケを展開。ディフェンスでA東京の望む組み立てをさせずにスローペースに巻き込み、イージーシュートのチャンスを与えない。

この試合で26得点のデション・トーマスに19得点のケビン・ジョーンズと個人技で点を取るA東京に対し、信州はマクヘンリーがクリエイトするバランスアタックで対抗。A東京はディフェンスで『らしさ』を発揮できず、ローテーションのミスからドライブ一発でイージーなレイアップを許すなど、西山達哉に大崎裕太、山本エドワードと信州のガード陣を捕まえるのに苦労した。

前半はわずかな点差ながら信州がリードする展開。攻守ともにプラン通りの戦いができていた信州だが、シュートタッチ自体は良くなかった。多投する3ポイントシュートがリングに嫌われ、ここでまとまったリードを作れなかったことが後半の落とし穴となる。

転機となったのは第3クォーター途中、ウェイン・マーシャルが個人3つ目、4つ目のファウルを連続でコールされてベンチに下がることに。この時間帯は何とか踏ん張ったものの、アレックス・カークがパワーで強引に押し込む攻めへの対応でマクヘンリーが消耗したことで第4クォーターの失速を招いた。

第4クォーターの立ち上がり、テンポを上げたくない信州に対して須田侑太郎が素早く仕掛けて連続得点を奪ったのを機に3分間で10-2のラン。信州はタイムアウトを取ると同時に西山と大崎を戻して立て直すも、得点が伸びない中で2桁のビハインドを覆すのは簡単ではなかった。

残り1分、粘る信州を振り切るビッグプレーが飛び出す。後がない信州はギャンブル的にプレッシャーを掛けに行くも、ボールを運んでいた田中大貴は慌てることなくペイントエリアに飛び込むトーマスを見つけ、ドンピシャのパスを合わせる。三ツ井利也がファウルで止めに行くも間に合わずにバスケット・カウント。このプレーで勝敗は決し、A東京が最終スコア83-73で勝利している。

信州はリバウンドで30-40と下回りながらセカンドチャンスポイントを9しか与えず、ファストブレイクも4に抑えた。さらには田中とカークを2人合わせてフィールドゴール23本中8本成功、22得点と封じている。攻めでは20アシストに対しターンオーバー5と効率の良いバスケを展開(A東京は16アシストに対してターンオーバー8)。それでも強引に圧力を掛けてくるA東京に25本のフリースローを与えて22点を奪われ、自分たちの攻めでは生命線となる3ポイントシュートが32本中7本成功と低調だったのが痛かった。

逆にA東京としては、内容に課題は多いがとにかく勝利を手にした。現在は東地区で7位、チャンピオンシップ進出のためには内容が悪くても勝ちを拾っていかなければいけない状況だ。苦しみながらも集中とハードワークを絶やさずにノルマを達成した試合となった。