文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

序盤は先行するも、ファウルをきっかけにリズムを狂わせた

渡邊雄太がプレーするジョージ・ワシントン大学が来日して日本代表と3連戦を行う国際親善試合の第2戦が、東京の両国国技館で行われた。

大阪で行われた第1戦はジョージ・ワシントン大が完勝。日本代表は中2日で状態を上げてこの試合に臨んだ。相手がファウルで得た2本のフリースローを外す立ち上がり、満原優樹のジャンプシュートで先制すると、比江島慎が3ポイントシュートで続き、さらには渡邊のドライブを止めてからの速攻で田中大貴が加点し、試合の主導権を握る。

3日前の初戦と比べると、日本のパフォーマンスはかなり向上していた。太田敦也と満原がインサイドで押され負けず踏ん張り、初戦では走り回るも空回り気味だった藤井祐眞が攻守に噛み合う。こうなると初戦では単発だった比江島を起点とするオフェンスにも厚みが出て、パスコースが増えることで攻めの選択肢が広がり、相手を揺さぶることが可能となった。

こうして第1ピリオドと16-14とリードして終えた日本だが、この後に落とし穴が待っていた。第2ピリオド開始から30秒で2ファウル。残り8分16秒という早い段階でチームファウルが4に達した。積極的なディフェンスに行ったところを連続で笛を吹かれてリズムが狂い、ファウルを気にして激しく当たれなくなると、ジョージ・ワシントン大学が息を吹き返す。

渡邊のダンクが反撃の狼煙だった。主力選手の多くがが卒業でチームを去った後、新チームを担う渡邊とタイラー・カバノフに連続得点を許し20-30と一気に10点のビハインドを背負う。終盤に何とか立て直し、最後はブザーと同時に放った辻直人の3ポイントシュートが決まって34-38と4点差に追い上げる。

後半はディフェンスの意識を引き締め直し、一進一退の攻防に。それでもジョージ・ワシントン大がカバノフ、コリン・スミス、ケビン・マルフォといったフィジカルに秀でた選手の強引な攻めで得点をもぎ取り、じわじわとリードを広げていく。このピリオドもチームファウルが5に達し、第3ピリオド終了時点で50-62と突き放された。

『バスケットボール・アリーナ』としても極めて優れていた両国国技館。優勝額が見守る下で太田は力強いプレーを見せた。

日本の追撃ムードを断ち切ったのは渡邊雄太の一撃

それでも日本代表はこのままでは終わらなかった。最終ピリオドに攻守が噛み合う。ディフェンスの激しさはキープしつつ、リバウンドの局面で取りに行くのではなく突き出しにいってこぼれ球を拾う。ペイント内で強さを見せる太田が柔軟さも発揮してマークを飛ばしてジャンプシュートを決めれば、辻と古川孝敏が連続3ポイントシュートを決めて猛烈な追い上げを見せた。

ジョージ・ワシントン大はインサイドのパワーで押し返しにかかるも、永吉佑也が粘りに粘ってパワー勝負を制して得点を決め、62-69と7点差まで詰め寄る。

だが、ここでも日本代表に立ちはだかったのは渡邊でありカバノフだった。残り3分41秒で日本がこのピリオド4つ目のチームファウルを犯すと、渡邊が3ポイントシュートで日本の追撃ムードを断ち切り、カバノフが味方のシュートのこぼれ球を押し込んで62-74と再び日本を突き放す。

タイムアウトで一息入れた後、日本代表は辻の3ポイントシュート2本で逆襲するもフリースローで失点し、71-77で敗れた。

長谷川健志ヘッドコーチは試合をこう振り返った。「相手のバスケットに対して日本のディフェンス力は修正して見せられたと思います。リバウンドについてもまだ差はありますが、戦えたんじゃないかと。問題はフィジカルの強さのところで、ファウルでフリースロー27本を取られたジャブが効いてきた」

古川は約30分間の出場で、盛んにチームメートに声を掛けて連携を整えつつ、身体を張ってリバウンドを追い、攻めでは積極的に仕掛けて辻とともにチームトップの13得点を挙げている。だが、彼は連敗したことに対する悔しさを「大学生にやられるのは恥ずかしいし、お客さんにも申し訳ない」という言葉で表現した。「でも、どう改善していくか。負けてしまったけど、あと1試合あるのでつなげられるように。みんなでどう戦っていくべきかを共有して、チームとしてまとまっていきたい」

課題はフィジカルで押される局面でのディフェンス。ここを対応できるようにならない限りは3連敗を喫しかねない。第3戦の対応について長谷川ヘッドコーチはこう言い切った。「カバーよりも一対一でそれぞれが守り切ることを選手には要求したい」

第3戦は浜松アリーナでの開催。8月19日(金)、18時の試合開始となる。

ポイントガードとして攻撃を組み立てるとともに前線から激しいディフェンスを見せた田中。第1戦からパフォーマンスを向上させたチームの象徴だった。
主力選手を務めていた上級生が抜けたジョージ・ワシントン大で、単なるスターターではない価値を持ち始めた渡邊。19得点10リバウンドとダブル・ダブルを記録。この日も期待に応えてチームを勝利に導いた。