ブランドン・イングラム

ここ一番の場面でチームが頼るのは、ザイオンよりイングラム

ペリカンズは開幕から2勝2敗のスタートを切った。若く有望なタレントが多い中でも、2019年のドラフト全体1巡目指名を受けたザイオン・ウイリアムソンがケガの不安なくプレーすることでどれだけのパフォーマンスを見せるか、『レブロンの次にNBAに君臨する存在になれるか』という注目が集まるが、実際にこのチームでエースの役割を担っているのはブランドン・イングラムだ。

昨シーズンにオールスターゲーム出場に加え、MIPも受賞し一気に才能を開花させたイングラムは、今オフに5年1億5800万ドル(約170億円)の契約延長に合意。天性のリーダーシップを発揮していたドリュー・ホリデーが退団した後、チームリーダーとなっているのはNBAキャリア5年目を迎えたイングラムだ。

98-95で勝利したスパーズ戦の終盤、クラッチタイムにボールを託されたのはザイオンではなくイングラムだった。豪快なダンクやブロックといったザイオンの魅力は規格外だが、それでも『ここ一番』ではイングラムの出番となる。

チームメートのジョシュ・ハートはイングラムがチームのリーダーであることをはっきりと公言した。「彼がリーダーだよ。分かりきったことだ。特に勝負どころでは全員が彼を探す。彼はチームに勝利をもたらしてくれる」

イングラム自身もエースの自覚を持っている。「失敗を受け止め成長しようと思っているから、ミスがあっても落ち着いてプレーを続けられる。得点を取るために努力しているし、シュートだけでなく試合の流れを読んだりチームメートのためにチャンスを作ることが、ごく自然にできている」

ロンゾ・ボールがハイペースのオフェンスを作り出し、他の選手がそれに合わせて走る。イングラムの仕事はそこで自分たちのオフェンスと相手のディフェンスを見て、必要であればリズムに変化を加えて、フィニッシュに持ち込むことだ。昨シーズンは平均23.8得点、4.2アシストを記録。昨シーズンの活躍がマグレでないことを証明するには、この数字をまずはキープしなければならないが、その次に求められるのはスタッツの上積みよりも、クラッチタイムの仕事ぶりとなる。勝負どころで結果を出してチームを引っ張っていけるか。それがイングラムがNBAプレーヤーとして飛躍するための大きなステップとなる。