『笑顔』でチームを引っ張り、ラストまで仲間を鼓舞し続けた北陸の土家拓大「最後は笑顔で終わりたいと思った」

『笑顔』でチームを引っ張り、ラストまで仲間を鼓舞し続けた北陸の土家拓大「最後は笑顔で終わりたいと思った」

2020/12/29 08:30
土家拓大

「仲間にも恵まれて、本当に楽しいバスケができた」

北陸は10年ぶりの日本一を目指してウインターカップに挑んだが、準決勝で仙台大学附属明成にわずか2点差で敗れ、決勝の舞台に立つことなく大会を終えた。

1回戦で対戦した中部大学第一の常田健コーチが、「北陸高校は乗せると怖いチーム」と警戒していたように、北陸は一度勢いに乗ったら止まらないチームだ。走るバスケットを展開し、全員が積極的にリングにアタックしていく。そして3ポイントシュートも一度入り出したら止まることなく、中と外から得点を重ねてきた。

その北陸を引っ張っていたのがキャプテンで司令塔の土家拓大だ。試合が重い展開になった時に、ボールプッシュして自ら果敢に攻めることで、コートに立っているメンバーだけでなく、ベンチメンバーも含めてチームメート全員を鼓舞してきた。

58-60で敗れた明成との準決勝はゾーンオフェンスに苦戦し、北陸らしいプレーが出ない時間帯が続いたが、身長170cmの土家が190cm代の選手が揃う明成のディフェンスをかいくぐり得点へと繋げて重い展開を打破した。ラスト41秒の時点では北陸が1点リードをしていたが、その後に明成にフリースローを許してしまい、58-60で迎えたラストポゼッション。北陸は逆転を狙う最後の一本を土家に託すも、彼が放った3ポイントシュートはリングに嫌われた。

試合はリードチェンジを繰り返したり、得点が停滞したりと、両チームともに我慢の時間が多かった。それでも北陸は全員がコミュニケーションを取り、笑顔でコートに立っていた。しかし負けた瞬間は「正直、泣きたかったです」と土家は言う。それでも彼は下を向かず、試合終了のブザーが鳴った瞬間ですらチームメートに声をかけて回った。「北陸は、最後は笑顔で終わりたいなと思って、僕は泣くのを我慢してみんなに『顔を上げよう』ということを伝えました」

そして「とても楽しい試合だったので、やりきったなというのが正直な気持ちです」とスッキリした様子で語り、こう続けた。「チームメートが試合中もずっと声をかけてくれて笑顔で試合ができました。結果的には負けたんですが、本当に楽しい試合だったと思います」

土家拓大

「本当に最高な仲間、『今までありがとう』を伝えたい」

土家はこの大会中に何度も「キャプテンとして仕事をできていない」と反省を語っていた。明成との準決勝をもって彼の高校バスケは幕を閉じたが「楽しくみんなで試合をできたという部分では、キャプテンとしてちゃんと仕事ができていたと思います」と言う。それでも、北陸は日本一を目指してきたチームだ。そのため「結果的にはチームを勝たせることができなかったので、キャプテンとしてその仕事はできませんでした。ポイントガードとしても、キャプテンとしても試合を勝たせないと意味がないのでそこは反省しています」と悔やんだ。

土家は中学時代から注目を集めていた選手で、高校に進学する際には全国の強豪校から誘いがあったという。それでも当時は全国上位から遠ざかっていた北陸を選択し、その理由をこう語っていた。「入ったチームを強くしていくほうがやり甲斐があるし、僕には向いているかなと。有名なガードをたくさん輩出している北陸にはあこがれもありましたし、このチームで日本一になりたいと思いました」

その目標は達成できなかったが、高校生活最後の試合を終えた土家に、中学生の時にした決断に対する答えと問うと、こう語った。「自分のプレースタイルで、北陸高校でいろいろな経験をさせてもらって、チームメートにも本当に恵まれて、本当に楽しいバスケができました。本当に3年間で良い思い出が増えたのでそこは間違っていなかったと思います」

敗れはしたものの、最後まで北陸らしく笑顔でコートに立ち続けた土家の思いは後輩にしっかり届いているはずだ。ともに3年間頑張ってきた仲間ともう一緒にバスケットをすることはないが、土家はこう感謝の気持ちを語った。「本当に最高な仲間だったので、今までありがとうを伝えたいです。あと、関係はこれで終わりじゃないので、これからもよろしくということを伝えたいですね」

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