東京成徳大学

控え選手がステップアップ、バランスの良さが光った成徳

ウインターカップ女子準決勝、札幌山の手vs東京成徳大学の一戦。山の手が3試合連続100点ゲーム、成徳も4試合の平均得点が100点超えと、攻撃力の高いチーム同士の戦いとあって、壮絶な点の取り合いとなった。

山の手は舘山萌菜や1年生キャプテンの森岡ほのかのパワフルなインサイドプレーで効果的に加点し、リバウンドでも優位を作る。対する成徳は精度の高いアウトサイドシュート、キャプテンの山田葵を起点とするピック&ロールからの連携で得点していき、同じオフェンシブなチームでありながら、対照的なスタイルで得点を積み上げていった。

取られたら取り返す一進一退の攻防が続いたが、ピンポイントで使ったトラップディフェンスが機能し、11本中7本と高確率で3ポイントシュートを成功させた成徳が57-51とリードして前半を終える。

後半に入っても点の取り合いが続くが、成徳は山田を下げている間もシューターの須田理恵が攻撃を組み立てリードを保つと、山口希乃夏や小島瑠生といった控えの選手が加点したことでリードを広げていく。そして、最終クォーター開志1分半、山口のディープ3ポイントシュートが決まり、90-73と山の手を突き放した。

勝敗が決まったかに見えたが、ここから山の手の猛反撃が始まる。オールコートプレスを仕掛けて成徳オフェンスのリズムを崩すと、ゲームハイの34得点を挙げた舘山が積極的にアタックし続け、フリースローで点差を縮めていく。

追われる成徳はこれまで決まっていたシュートが突然入らなくなり、ミスも重なって平常心を失う。山田をコートに戻してもチームは落ち着かず、残り2分で2点差まで迫られた。だが、成徳はディフェンスを締め直し逆転を許さなかった。そして、残り39秒に山口が値千金のシュートを沈め、96-92のハイスコアリングゲームをモノにした。

東京成徳大学

「ウインターカップでもう1段階チームが強くなった」

舘山と森岡ほのかのダブルエースに合計62点を奪われたが、成徳は山口と佐坂光咲が20得点、5選手が7得点以上を記録するなど、個の力を数で凌駕して接戦を制した。特に山口は準々決勝の安城学園戦では出場機会がなかっただけに、相手にとっては想定外のパフォーマンスだっただろう。

成徳の遠香周平コーチは6人ローテーションだった前日の戦い方からの変化をこのように説明した。「昨日は僕のミスです。大事な時の交代がかわいそうと思い、交代できなくなってしまって引っ張り過ぎてしまいました。選手にすまなかったと言って、今日はみんなでやるよと話していました」

コーチが起用法で自分のミスを認め、選手に謝るというのはなかなかレアなことだろう。だが、そのコーチの真摯な姿勢に控え選手が応えたことで、成徳は決勝への切符を手にした。相手は圧倒的な力を見せつけている桜花学園。キャプテンの山田は「正直言って、このウインターカップでもう1段階チームが強くなったと感じています」と、自信を深めている。

準々決勝では劇的なブザービーターで勝利し、準決勝も2ポゼッション差の接戦を制した。今の成徳には女王超えの雰囲気が漂っている。