佐藤杏音

ベスト4入りした、2018年の『津幡旋風』を巻き起こせるか

ウインターカップ1回戦、『県立の星』こと県立津幡は柴田学園と対戦した。

前半を終えて37-33と拮抗した展開が続いたが、最も目立っていたのが 津幡の佐藤杏音だった。「前半はシュートタッチが良くて、大げさに言えば打てば入る感覚でした」と語ったように、4本の3ポイントシュートを含む20得点を前半だけで記録し、チームを引っ張った。

第3クォーター以降、佐藤の得点は伸び悩んだが、相手の粘りを断ち切るフリースローを沈め28得点を記録。チーム一丸のバスケを継続し、64-56で勝利した。「リズムが崩れて後半はシュートが入らなかったんですけど、他のメンバーにカバーしてもらいました。ヒヤッとした試合でした」と佐藤は試合を振り返った。

前半の活躍もあり、ダブルチームの回数が増えたりヘルプが何人も来るなど、後半は佐藤へのマークがより厳しくなったように映った。だが本人は「ディフェンスが来たという印象はなく、前半と変わらなかった」とそれを否定した。それは厳しいマークを受け続けてきたからこそ言える言葉だった。

「予選ではカバーディフェンスがすごかったり、もっときついフェイスガードを経験してきました。練習でもチームメートにフェイスガードしてもらったりして慣れていたので」

佐藤が「ヒヤッとした試合」と振り返ったように、最終クォーター残り1分には4点差まで迫られた。相手の勢いに飲まれてもおかしくない場面だったが、「そこで落ちてしまうと、集中力が切れて引きずってしまいます。みんなで集まって『集中し直すよ』って声掛けをして、一人ひとりが気を引き締めました」とハドルを組んで乗り切った。そして、佐藤はそこから4本のフリースローを獲得し、そのすべてを成功させて勝利を決定づけた。

2018年大会で4位、昨年大会もベスト8と強豪と呼べる地位を確立しつつある津幡だが、先発メンバーで全国を経験しているのは佐藤一人だけ。それでも、佐藤のシュートタッチが悪かった時間帯を支えたのは間違いなく周りのメンバーであり、決して佐藤のワンマンチームではない。2018年大会の『津幡旋風』を巻き起こす準備はできている。