「今日はとにかくハッスルすることしか考えていなかった」
千葉ジェッツは富山グラウジーズとの第1戦を98-82で勝利した。
富山はボールハンドラーが多く、走るバスケットを得意とするが、この試合では千葉がゲーム序盤から強度が高いディフェンスで富山のトランジションバスケを封じた。
そのディフェンスを前線から仕掛けていたのが佐藤卓磨だ。富山の指令塔、宇都直輝に対して高い位置からプレッシャーを与え続け、『走らせない』という強い気持ちを体現。ハーフコートに入っても簡単にはドライブをさせずにタフショットに追いやるなど、宇都に仕事をさせなかった。
この試合では佐藤の積極的なディフェンスが目立ったが、「木曜日の天皇杯の時は彼の良さが全然出てこなかった。上手くこなそうとする卓磨は好きじゃないと伝えました」と大野篤史ヘッドコーチは明かし、こう続けた。
「インテンシティが高くて、アグレッシブにミスを恐れない、ボールに執着する。そこが一番良いところなので、それをどんな相手であっても忘れたらいけないと伝えました。そこが一番の魅力だし、それが卓磨の一番好きなところなので、今日はしっかりパフォーマンスで発揮してくれたと思います」
佐藤も「とにかく出だしのディフェンスを頼むと言われていました。僕自身、天皇杯であまりハッスルできずに良いパフォーマンスができなかったという反省点があったので、今日はとにかくハッスルすることしか考えていなかったです」と振り返る。
その言葉通り、この試合ではアグレッシブなディフェンスを遂行してチームを盛り立てた。「自分はハッスルすることで、どんどんリズムに乗る選手。そこからチームに勢いを与える選手なので、そこを切らさずにやっていきたいです。今日は良い形でできたと思うので、これからも続けていきたいです」
「明日は宇都さんを0点に抑えたいと思います」
佐藤のディフェンスでの成果は数字にも表れていて、コンスタントに2桁得点を記録する宇都をこの試合では9得点に抑えた。それでも佐藤は「納得いかないですね」と満足していない。「やっぱりリーグでもベストなディフェンダーと言われるように、自分がマークした選手には1点も与えない気持ちでやっていますし、明日は宇都さんを0点に抑えたいと思います」
ディフェンス面での貢献はもちろんだが、佐藤はオフェンス面での成長も実感している。この試合では5得点に留まったが、本人は「数字にはあまり出ていないですが」とし、こう話した。「大野さんからは『臨機応変な対応力をつけてほしい』と言われています。ドライブの時の判断とか、そういった能力は自分でも成長を感じている部分です。今日も(西村)文男さんからそういったアドバイスをもらったり、先輩たちがいつも自分のプレーをフィードバックしてくれるので、今は自立した選手になれるチャンスだと思っています」
この『自立した選手』とは、自分で考えてプレーすることだ。昨シーズンと比べると平均得点が7.1から5.0とやや落ちているが、それは滋賀レイクスターズとはシステムが異なることが関係している。「滋賀の時は自分に合ったオフェンスシステムがありましたが、ここでは自分で考え抜かないといけないオフェンスです。今は自分の頭で考えて、どうくぐり抜けて行くかが課題であり、今後の楽しみな部分でもあります」
このように新天地でも自分らしさを発揮しつつも、新たな課題に挑む佐藤の今後の成長に期待したいが、まずは今日の富山との第2戦で有言実行なるかに注目だ。
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