谷村を起点に日立が互角の展開に持ち込む
皇后杯準決勝、日立ハイテククーガーズvsトヨタ自動車アンテロープス。終始拮抗した展開が続いたが、オフェンスリバウンドで24-8と圧倒したことで優位を保ち、長岡萌映子がクラッチタイムに得点を重ねたトヨタが78-67で勝利した。
日立は大黒柱の谷村里佳を起点にオフェンスを展開。トヨタ自動車 はダブルチーム、時にはトリプルチームで潰そうとするが、周りの選手が抜群のタイミングでカットし、スペースを有効に使って合わせから得点を重ねていく。さらにトランジションからの速攻も効果的だった。
一方、トヨタ自動車は個の打開が目立ち、序盤はリズムに乗れなかったが、ルーキーの平下愛佳が2本連続で3ポイントシュートを沈め、山本麻衣もミドルシュートを決めるなど、ベンチメンバーが流れを呼び込んだ。すると、固さが取れた馬瓜エブリンがミドルシュートにオフェンスリバウンド、スティールからの速攻とオールラウンドに活躍し、トヨタがリードした。
第2クォーターに入り、インサイドで上回るトヨタ自動車は河村美幸がゴール下で得点を重ね、リードを2桁に乗せる。このままワンサイドになるかと思われたが、周りのタイミングの良いパスもあって谷村がインサイドで奮闘し、シュートファウルを誘発してフリースローで繋ぐと、速攻を繰り出しリズムを取り戻した日立は星香那恵のドライブで同点に追いついた。
長岡が終盤に勝利を引き寄せるパフォーマンス
後半に入っても拮抗した展開は続く。前半は4本中0本と3ポイントシュートに当たりがなかった日立だが、星が初の3ポイントシュートを成功させると、谷村のキックアウトから北村悠貴も3ポイントシュートで続き勢いづく。さらに谷村がオフェンスリバウンドからバスケット・カウントをねじ込んでついに逆転に成功した。
だが、谷村とともにインサイドを支えていた鈴木知佳がファウルトラブルに陥り、谷村も残り5分で個人3つ目のファウルを犯してしまったことで、インサイドが手薄になった。日立はボックスアウトを徹底するも、身長と身体能力で上回るトヨタ自動車のインサイド陣に何度もオフェンスリバウンドを奪われた。8-24というオフェンスリバウンド数が表すように、ポゼッション数で上回られ、トヨタ自動車にリードを許し、時計は進んでいった。
ポゼッション数で優位に立ったトヨタ自動車だったが、なかなか外のシュートに当たりが来ず、また谷村のインサイドに手を焼き、突き放すことができなかった。そんな中、この熱戦に終止符を打ったのが長岡だった。長岡は3ポイントシュートにドライブ、ゴール下とラスト約3分間に7得点を固めた。日立はあきらめずにファウルゲームを仕掛けるが、トヨタ自動車がこれを乗り切り、苦しみながらも決勝へ駒を進めた。
トヨタ自動車はチームハイの19得点を挙げたエブリンを含む、5人が9得点以上を記録するバランスの良さが目立った。ヘッドコーチのルーカス・モンデーロはルーキーながら13得点を挙げた平下について「才能のある若い選手。どの試合でも13得点できる。ディフェンスが良くなって、プレータイムが与えられるようになった」とコメントした。
明日の決勝は渡嘉敷来夢が不在ながら、デンソーアイリスを78-62で下した『女王』ENEOSサンフラワーズと対戦する。