「最近はシステムを理解して、自分の良さを出せている」
アルバルク東京が何かおかしい。開幕から1カ月半は10勝5敗と及第点のスタートを切ったものの、バイウィーク明けは1勝4敗。ここまでの戦績を見ると、水曜ナイトゲームは5試合を戦って全敗しており、スケジュールが厳しくなると星を落としている。今年は例年以上に過密日程で水曜開催が多く、リーグ中断期間には代表活動が入ってくる。田中大貴、竹内譲次、安藤誓哉とスタートの3人を代表に送り込むA東京の負担は大きいが、それを乗り越えなければ勝率は上がってこない。
そういう意味で期待したいのがセカンドユニットの底上げだ。開幕から好調の須田侑太郎はここ3試合で先発を務めている。さらにもう一人、評価を高めているのがポイントガードの津山尚大だ。海外挑戦が上手く行かず、昨シーズン途中にA東京に加わった彼は、ルカ・パヴィチェヴィッチのシステマチックなバスケへの順応に手間取った。
途中加入の昨シーズンに手間取るのは無理もないが、今シーズン開幕当初も津山はミスをしないことを意識するあまり、彼自身の持ち味であるアグレッシブなプレーを抑え込んでいるようにも見えた。
それでも、ここに来て津山は持ち味を発揮しつつある。チームの歯車として動きつつ、自らの持ち味であるハンドリングやシュート力、フィジカルを生かした激しいディフェンスをコート上で表現できるようになってきた。昨日のSR渋谷戦では19分のプレータイムを得て10得点4アシストを記録。チームオフェンスが機能せず、アレックス・カークとデション・トーマスが個人技で繋いだこの試合、津山は『第3の得点源』として存在感を見せた。
「やっぱり昨シーズンは試合の途中から入ってまだまだルカのバスケットが理解できていなかった部分がありました。オフシーズンからシステムを理解することを準備してきたんですけど、シーズン前半は試合勘もあって僕も上手くチームにフィットできていませんでした。最近は少しずつルカヘッドコーチが求めるもの、システムを理解してきて、自分の良さを出せていると思います」
「指示するだけじゃなく自分がアタックすることを」
迷いを振り切るきっかけとなったのは、自分の武器の中でも最も押し出すべきはディフェンスだと考えが整理できたからだと津山は言う。「フィジカル的にディフェンスすることをルカは一番に求めているので、まずは自分のマッチアップしている選手にやられないようにプレッシャーをかけ続けて、フィジカルにディフェンスをやっていくことです。今日の前半は山内(盛久)さんにドライブから2本ジャンプシュートをやられたので、そこは集中して最初からもっともっとアグレッシブにやっていけたらと思います」
「ルカヘッドコーチが求めたフォーメーションのコールだったりを遂行するのは当たり前だけど、その中で相手もスカウティングをしてプレッシャーをかけてくる中を、指示するだけじゃなくて、第3クォーターみたいに自分がアタックすることができるようになった」と津山は自信を語る。
これまでは決まったプレーの遂行ばかりに意識が行っていたが、それが自然とできるようになったことで攻守ともに自分らしさが出てきた。本人はディフェンスを第一に意識していると言うが、オフェンスでも彼本来の魅力が出つつある。昨日の試合ではSR渋谷の激しいプレッシャーを強靭なフィジカルで押しのけ、圧を掛けられながらも巧みなハンドリングでかわしていくシーンが目立った。安藤とはタイプの異なる津山だからできるこのプレーは、SR渋谷を大いに苦しめた。
A東京が今の閉塞感を打開するには、津山がよりアグレッシブに、大胆なプレーを続けることが必要だ。まずは今日の第2戦を取り返すこと。そこに津山がどのような形で貢献できるかに注目したい。
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