グリズリーズとの2年契約が終わり、新たなチームを探す
ラプターズが渡邊雄太をトレーニングキャンプに参加させると『The Athletic』が報じた。
渡邊は2018年オフにグリズリーズと2ウェイ契約を結び、グリズリーズとGリーグのメンフィス・ハッスルを行き来しながらプレー。その2年目となった昨シーズンはNBAで18試合に出場し、平均5.8分のプレータイムで2.0得点、1.5リバウンドを記録した。1年目と比較して出場試合数こそ増えたが、プレータイムが11.6分から半減したことで、得点、リバウンド、アシストとどのスタッツも落とすことになった。
Gリーグでは22試合に出場し、平均32.7分のプレータイムで17.2得点、5.7リバウンド、2.2アシスト、1.0ブロックを記録。Gリーグではエース級の活躍を見せているが、グリズリーズではジャレン・ジャクソンJr.、ブランドン・クラーク、ジョシュ・ジャクソンと同じポジションの若手の起用が優先され、渡邊はGリーグでアピールできていてもグリズリーズでの出場機会獲得に苦しんだ形だ。
渡邊自身、この1年について「Gリーグでは文句のない活躍ができたと思うんですけど、NBAではまだまだ足りないところを痛感しました」と振り返っている。
この2ウェイ契約が満了となりフリーエージェントとなった今オフ、ようやく具体的な動きが表面化した。ラプターズは一昨シーズンのNBA王者であり、ニック・ナースの下で様々なディフェンス戦術を駆使して勝利を挙げていくチームだ。
ボールマンに対して複数のカバーリンクを準備しながら、シューターへも徹底したチェイスを行うチームディフェンスは、柔軟にスイッチとローテーションを繰り返し、マッチアップが頻繁に変更される。ここは渡邊とは相性が良さそうだが、その一方でリーグで最も高度な連携を求められるチームであり、新加入の選手が合わせるのは簡単ではない。短いトレーニングキャンプの中で戦術適応能力をどこまで示せるかが、本契約を勝ち取れるかどうかの大きなポイントとなる。
開幕前のキャンプ参加を想定した契約形態であるエキシビット10契約を結び、トレーニングキャンプに参加することになりそうだ。
グリズリーズの2年間、特に2年目の昨シーズンはGリーグでどれだけ活躍してもNBAでのチャンスに繋がらなかった。これは渡邊の実力というより、グリズリーズのチーム構想に合っていないのに2ウェイ契約に縛られてしまった感が強い。最終的には本契約を結ぶのが今オフのゴールとなるが、そのためにはまず渡邊が自分のプレースタイルがチームにとって有用だとアピールすることが大事。どのポジションでも守ることができ、高速トランジションに対応できる渡邊雄太のスタイルは、ラプターズにハマる可能性がある。良い契約を勝ち取れることを期待したい。