カワイ・レナード

早くも責任を問う声「彼がクリッパーズを脅したようなもの」

2019年の夏、クリッパーズはカワイ・レナードとポール・ジョージというトップスターの獲得に成功し、2019-20シーズンの優勝候補に挙げられた。

サポーティングキャストにも恵まれたクリッパーズは、西カンファレンス2位でプレーオフに進出。しかし、カンファレンスセミファイナルで対戦したナゲッツの驚異的な粘りに苦しみ、3勝1敗でシリーズ突破に王手をかけながら逆転負け。ラスト3試合の不甲斐ないパフォーマンスに加え、レイカーズとのライバル対決が実現しなかったことで『失敗のシーズン』となった。

2020-21シーズンは、レナードとジョージが中心となって2年目。『優勝を逃せば失敗』というプレッシャーを再び背負うことになるが、このオフは逆風が吹き続けている。

昨シーズンのシックスマン賞に輝き、フリーエージェントになったモントレズ・ハレルは、ライバルチームのレイカーズへの移籍を決めた。補強ポイントであるプレーメーカーの候補に挙がっていたラジョン・ロンドはホークスとの契約を選んだ。昨年オフにジョージを獲得するためにドラフト1巡目指名権5枠、1巡目指名権交換権2枠をサンダーに譲渡しており、しばらくドラフトでは選手を指名できない。

ジョージを獲得したのは、フリーエージェントだったレナードが入団の条件としてクリッパーズに要求したからだ。すべては優勝への一番の近道と判断したからだろうが、もし次のシーズンも優勝を逃せば、翌2021-22シーズンの契約がプレーヤーオプションのレナードとジョージは退団することが濃厚で、クリッパーズは再び暗黒期に突入してしまう。

新シーズンが開幕する12月22日をどういうロスターで迎えるかは分からないにしても、エースであるレナードに対する風当たりが厳しいものになるのは容易に想像できる。辛辣な発言で知られる『ESPN』コメンテーターのスティーブン・A・スミスは、レナードにはクリッパーズを引っ張る責任があると主張した。ジョージを獲得したトレードを引き合いに出し、強い口調で次のようにまくしたてた。

「彼がクリッパーズを脅したようなもの。だからクリッパーズは、大きな代償を支払ってポール・ジョージを獲得した。球団は彼の意見に従って今の状況に陥っているのだから、1試合25点か26点、それ以上の結果を残す責任が彼にはある。素晴らしい選手であれば、やれる限りのことを尽くして結果をもたらさないといけない。球団は、君が要求したことを受け入れたんだ。ステップアップしてみせろ!」

勝負の世界では運も大きな要素になるため、クリッパーズが昨シーズンに優勝できなかったすべての責任をレナード一人に押し付けるのは酷だ。ただ、スミスが主張する通り、クリッパーズはレナードのリクエストを叶えた。勝てる環境を整えてもらった以上、全力を尽くして結果を残すのがエースの役目というもの。レナードが選手としての価値を保つためには、誰の目にも明らかな結果をチームにもたらす必要がある。