ロースコアの展開は秋田のゲームプラン通り
千葉ジェッツと秋田ノーザンハピネッツの今シーズン初顔合わせ。爆発的な攻撃力を誇る千葉とディフェンスにプライドを持つ秋田の『矛と盾』の激突は、最後の最後までもつれる接戦の末に70-68で千葉が勝利した。
それでも今シーズンここまで平均90得点の千葉が70点しか取れていないことが示すように、ゲームプランを遂行できたのは秋田だった。ハビエル・カーターに加えて古川孝敏も欠場する状況で、チーム一丸のディフェンスで千葉を苦しめた。序盤から激しいプレッシャーで何度もターンオーバーを誘い、またゾーンディフェンスを巧みに使うことでゴール下での得点を許さない。アレックス・デイビスが第1クォーターでファウル3つを犯すアクシデントもあったが、カディーム・コールビーが奮闘し、野本建吾や中山拓哉もタイミング良くインサイドの危険なスペースをケアする。こうして千葉の得点源であるギャビン・エドワーズを2得点、セバスチャン・サイズを5得点と、試合を通じて完璧に抑え込んだ。
しかし終始ビハインドを背負ったのは、ゾーンディフェンスの泣きどころである3ポイントシュートを富樫勇樹と西村文男に確率良く決められたこと、そして自分たちのオフェンスが機能しなかったことだ。それでも前半の最後は大浦颯太がシャノン・ショーターのミスを見逃さずスティールして速攻を決め、最後はタフショットをブザーとともにねじ込んで34-39と食らい付く。
後半も長谷川暢の速攻がサイズのチェイスダウンブロックに阻まれ、その直後に中山が速攻に行くも、背後から飛んで来るであろうサイズのブロックを意識してイージーレイアップを落とすなどオフェンスが不発で波に乗れない。さらには167cmの富樫が細谷将司の3ポイントシュートをブロックし、ここからフリースローを与えてしまい49-60と突き放された。
それでもあきらめない秋田は、第3クォーター終盤から個人ファウル4つで後がないデイビスをコートに戻すスクランブル体勢でコールビーをしばし休ませ、第4クォーターに反撃を開始する。デイビスを軸にインサイドのディフェンスを固めて千葉の得点を止める間に、第3クォーターまで22本中4本成功と全く当たっていなかった3ポイントシュートを多田武史が連続して決めて猛追する。
富樫と西村の2ガードでボールを動かそうとする千葉に対し、終盤になっても足の止まらない秋田はプレッシャーをさらに強めてタフショットを強いる。残り1分16秒、長谷川が体勢を崩して打たされたタフショットを根性でねじ込んで66-66、ついに同点に追い付いた。
秋田の賭けは、際どいところで実らず
ここから、この試合の千葉で唯一インサイドで得点を重ねたジョシュ・ダンカンがペイント内でのジャンプシュートを手堅く決めて再びリードを奪い、デイビスがゴール下でダブルチームで囲まれながらもしぶとくファウルを誘い、フリースロー2本を決めて再び追いつく、両者一歩も譲らない攻防となった。
そんな混戦に終止符が打たれたのは残り19秒、千葉のポゼッションの場面。ダンカンのスクリーンを呼んで加速しようとする富樫に対し、デイビスがハードショウで強烈なプレッシャーを掛ける。ハーフラインに近い位置でのプレッシャーで富樫を押し戻し、バックコートバイオレーションを誘ったかに見えたが、判定はデイビスのファウル。時間がない中で秋田は乾坤一擲の勝負に出たが、際どいところで実らず。最終スコア68-70で敗れた。
主力選手を複数欠く状況で、使える10人の戦力をフル活用した秋田の戦いぶりは称賛に値する。ファストブレイクポイントは千葉の11に対して14と上回り、外国籍選手が2人しか使えず、うち1人は終始ファウルトラブルという状況でもゾーンを巧みに使うことでペイント内の得点でも千葉の32に対し30と互角。手持ちの戦力でできる限りの戦いはできたと言える。
その一方で、大いに苦戦しながら勝ち切った千葉の強さもまた光った。インサイドを封じられる中で富樫は3ポイントシュート5本成功を含む22得点を記録。ロースコアの展開においてその価値は非常に大きい。また先発のギャビンとサイズの得点が伸びない中で、ベンチスタートのダンカンが、ゴールの真下ではなく一歩離れた位置からのジャンプシュートを確率良く決め、秋田のタフなディフェンスの裏を突いてチームを救った。
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